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2016年09月30日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第三十七回目。

西山繭子さんの連載コラム「それでも恋がしたいんだ!」第三十七目の今回は、キスについて、独自の視点からの考察をご紹介しています。

それでも恋がしたいんだ

つい最近、その日初めて会った人とキスをした。

 

文字にすると、かなりやり手のように映りますが、残念ながら仕事でのキスでした。

あれ? これまた文字にすると危険な香りがするなあ。

 

まあ確かに女優という仕事は、少し普通ではないところがありますね。

そう、キスをしたのはドラマでの1シーンでした。

人に「ラブシーンって恥ずかしくないの?」と訊かれますが、実際の撮影はすこぶるプロ的で事務的であります。

顔の角度とか、タイミングとか。

この時も相手役の方に「テスト(本番前には何度もリハーサルをします)からしちゃって大丈夫ですか?」とあっけらかんと訊くと「はい!大丈夫です!」との返答。

何とも色気のないやりとりでありました。

 

それにしてもキスって誰が考えたんですかね。

どうして唇と唇を合わせようと思ったのだろう。

物心ついた時には、すでにキスは愛情表現という認識で、少女漫画で眺めては、自分のファーストキスはどんな感じだろうとドキドキしていました。

 

しかし実際の私のファーストキスは、ほとんど事故みたいなもので、味も素っ気もありませんでした。

16歳の夏、私は都内ホテルでCDを片手に某海外アーティストを待っていました。

いわゆる追っかけってやつですね。

 

しばらくすると正面玄関に到着したタクシーからメンバーの一人とスタッフが降りてきました。

一斉に群がる追っかけ少女たち。

彼は私が一番好きなメンバーではなかったのですが、せっかくだからサインを貰おうとその輪に加わりました。

順番を待っていると、私の前にいた女の子が彼に「Hug me」と言いました。

彼は「OK」と笑顔で彼女を抱きしめました。

あ、いいなと思った私もサインをもらってから彼女の真似をして「Hug me」と言いました。

 

すると何ということでしょう!(劇的ビフォーアフター!)

 

彼は私に突然キスをしてきたのです。

あまりの不意打ちに、私はぽかんとその場に立ちつくしました。

帰りの電車の中でもずっと茫然としていたし、帰宅してから何だかお母さんの顔をまともに見られなかったことを憶えています。

 

ファーストキスはレモンの味なんて言いますが、そんなのは直前までレモンを齧っている奴しかありえないわけで、私のファーストキスは無味無臭でした。

ただ、彼の唇がすごく薄くて冷たかったのが印象的でした。

四年前、その彼がロンドンオリンピックの閉会式でたくさんの聴衆を前に歌を歌っていました。

 

スターの彼は、22年前の夏に日本人の追っかけ少女のファーストキスの相手だなんて知るよしもないのだろうな。

 

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この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に 『バンクーバーの朝日』
『色鉛筆専門店』
『しょーとほーぷ』
『ワクちん』
などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo

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