大人女子のためのWebメディア
検索
2017年05月24日更新

女医宋美玄「出産で命を落とすなんて、今の日本であるの?」

「出産で命を落とすなんて、今の日本であるの?」「妊娠で起こりえる合併症って?」性行為から妊娠、出産に至るまでの“知っているようで知らない”正しい知識を、悩める女性へ向けて産婦人科医であり性科学者である宋 美玄先生が、優しく解説します。
宋-美玄先生の悩める女性の処方箋

セックス・妊娠・出産に関する医学的に正しい情報を学校や日常生活で学ぶ機会は意外と少ないです。性行為から妊娠、出産に至るまでの“知っているようで知らない”正しい知識を、悩める女性へ向けて産婦人科医であり性科学者である宋 美玄(そん みひょん)先生が、優しく解説します。

出産で命を落とすなんて、今の日本であるの?

もしあなたが妊娠したことがわかったら、どんな未来を想像するでしょうか。おそらく10ヶ月後には自分は元気で、元気な赤ちゃんを抱いているのだろうな、と想像する方がほとんどではないでしょうか。

実際にほとんどの女性はその通りになります。でも、残念ながらそうはならない女性がいるのも事実です。昔と違って医療が進歩して妊娠や出産が安全にすませられることが多いため、ほとんどの方は、自分の身近な人が妊娠、出産で命を落としたという経験はないのではないでしょうか。しかし、今でも現実に日本で年間約50人のお母さんが妊娠出産で命を落としています。

日本の妊産婦死亡率

日本の妊産婦死亡率(年間の出産数<出生数>に対する年間の妊産婦死亡数割合で、出産10万件あたりの比率で算出されます。妊産婦死亡というのは、妊娠中または分娩後42日以内に母体が死亡したことで、妊娠合併症による死亡と分娩に伴う死亡を対象にします。不慮または偶発の原因によるものは除いています)は、1940年には出産10万件あたり228.6人でした。それが2005年には10万件あたり5.7人まで減少しています。10万人あたりといわれてもピンとこない方が多いかもしれませんね。今、日本では毎年100万件あまりの出産があります。そして、年間約50人のお母さんが亡くなっているのです。確率的にはとっても少ないのです。これは先進国の中でもトップレベルの成績です。でも、ゼロではないんですよ。

無事に妊娠出産を終える保証なんて…

決して大袈裟な話ではなく、無事に妊娠出産を終える保証は誰にもないのです。たとえ命を落とさずにすんでも、出産後の出血や血栓症で、命を落とす手前までいく産後のお母さんを見かけることは、大きな病院に勤めていたら決して珍しいことではありません。

妊娠で起こりえる合併症って?

実際に妊娠中に起こる合併症を、いくつか簡単に紹介します。

 

◯ 妊娠高血圧症候群

昔でいう妊娠中毒症の新しい名称。血圧が上がったり尿にタンパクが出たりして、重症になると痙攣が起こったり、胎盤が急に剥がれたりする(後述の常位胎盤早期剥離)こともある非常に危険な病気。

 

◯ 妊娠糖尿病

妊娠前までは糖尿病といわれていなかった人が、妊娠中に血糖値が高くなる病気。赤ちゃんが大きくなりすぎたり羊水が増えすぎたり、赤ちゃんがお腹の中で具合が悪くなったり、難産になったりする病気。

 

◯ 常位胎盤早期剥離

突然胎盤が剥がれてしまう病気で、何の前触れもないことが多い。大量に出血し、赤ちゃんだけでなく母体の命が危なくなることもある恐ろしい病気。

 

◯ 弛緩出血

出産の後、子宮が元の大きさに戻るスピードが遅いために、緩んだ子宮から大量に出血してしまうこと。

 

◯ 深部静脈血栓症、肺塞栓症

血液に塊ができる病気。それが肺に詰まると肺塞栓症となり、命を落とす原因になることもある。妊娠中、特に出産前後は普段より起こりやすい。

 

◯ 付着胎盤、癒着胎盤

出産の後に胎盤が剥がれず、大量出血が起こる。子宮に胎盤が食い込んでいるのも癒着胎盤という。子宮に手を入れて胎盤を剥がしたり、最終的に手術で子宮を取らなくてはいけなくなることもある。

 

◯ 羊水塞栓症

羊水が母体の血液の中に入ってしまい、それが元で血液に塊ができて呼吸が苦しくなり、あっという間に死んでしまうこともある恐ろしい病気、大変珍しい。

年齢や喫煙、持病によってリスクが上がる

みなさんが怖くなってしまうのでこれくらいにさせていただきますが、妊娠に合併する病気というものはいろいろあります。

その多くは、年齢や喫煙など持病によってリスクが上がります。健康診断をちゃんと受けている人は大丈夫と考えていいのですが、健康診断を受ける機会のない人は糖尿病や高血圧、腎臓病などの持病がないか、妊娠前に検査を受けておくことをおすすめします。

 

参考文献:宋 美玄「学校では教えてくれないセックス・妊娠・出産の話 女医が教える 後悔しないために知っておきたい11の事

このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事を書いたライター

産婦人科女医・性科学者。
1976年、兵庫県神戸市生まれ。2007年、川崎医科大学産婦人科講師に就任。2010年、イギリス・ロンドン大学病院に留学し胎児超音波を学ぶ。2010年から国内の病院にて産婦人科医として従事。2012年1月に第1子を出産
主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)、「女医が教える これでいいのだ! 妊娠・出産」(ポプラ社)、「女のカラダ、悩みの9割は眉唾」(講談社プラスアルファ新書) など。

産婦人科はもちろんセックスに関する診療カウンセリングを行う。
セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行なっている。■宋 美玄HP http://www.puerta-ds.com/son/

女性ホルモンに関するキーワード

アプリでGrappsが
サクサク読める♪

5000本以上の記事が読み放題♪悩める女性のバイブルGrappsを 電車の中でも移動中でも快適にチェックすることができます。