大人女子のためのWebメディア
検索
2017年07月05日更新

女医宋美玄「 妊娠中に赤ちゃんの異常を知る意味」

セックス・妊娠・出産に関する医学的に正しい情報を学校や日常生活で学ぶ機会は意外と少ないです。性行為から妊娠、出産に至るまでの“知っているようで知らない”正しい知識を、悩める女性へ向けて産婦人科医であり性科学者である宋 美玄(そん みひょん)先生が、優しく解説します。今回は、妊娠中に赤ちゃんの異常を知る意味についてです。
宋-美玄先生の悩める女性の処方箋

セックス・妊娠・出産に関する医学的に正しい情報を学校や日常生活で学ぶ機会は意外と少ないです。性行為から妊娠、出産に至るまでの“知っているようで知らない”正しい知識を、悩める女性へ向けて産婦人科医であり性科学者である宋 美玄(そん みひょん)先生が、優しく解説します。

お腹の赤ちゃんは正常でしょうか?

お腹の赤ちゃんが何か異常を持っていないか、心配になるのは親として当然のことでしょう。もし自分の赤ちゃんに生まれつき何かの病気があれば、自分たちがちゃんと育てられるか不安になることと思います。また、その子が幸せな人生を送れるよう親として何をしていくべきかを考えると、子育てのハードルがより高まる思いをするかもしれません。

でも、この世に完全に正常な人間なんていないですし、生まれつき重いものから軽いものまでさまざまな病気を持って生まれてくる赤ちゃんは現実にたくさんいます。

超音波ではすべての異常が見つけられるの?

妊婦検診では超音波検査を行うことがあり、お腹の赤ちゃんの姿を見ることができます。その際に妊婦さんに「赤ちゃんは、大丈夫ですか?何か異常はありませんか?」とよく聞かれます。

妊婦健診の際に行う超音波では、医学的に重要なポイントを決まった時期にチェックしています。赤ちゃんの体の構造を細かくチェックするのは、病院によって違いますが主に妊娠20週前後です。その後は必要に応じて発育や胎盤の位置などをチェックします。

施設によっては妊婦健診のたびに超音波検査を行うところもありますが、毎回検査することに医学的な意味があるわけではなく、妊婦さんに赤ちゃんの顔を見せてあげて愛着を持ってもらおうというものなので、詳しい検査を毎回しているわけではありません。病院によって超音波検査の回数にはばらつきがありますし、どの程度詳しく体の構造のチェックをするかについてもばらつきがあります。

 

みなさんに理解しておいてほしいことは、超音波検査をすれば正常でない部分が全部わかるわけではないということです。検査の性質上、形の異常のように目で見てわかる異常は見つかる可能性がありますが、脳の機能など、目で見ただけではわからない異常は見つけることができません(当たり前だと思う方が多いと思いますが、妊婦さんの中には「この子に発達障害がないか調べてください」と真顔でおっしゃる方もいるのです)。

妊娠中に超音波で発見される異常は全体の半分くらいといわれています。生まれてみないとわからない病気や、二歳、三歳となってみて初めてわかる病気もたくさんあるのです。そして、すべての病気が妊娠中に診断された方がいいかということについては議論のあるところだと思います。

妊娠中に赤ちゃんの異常を知る意味って?

妊婦健診で赤ちゃんの体に異常がないか、超音波検査をするのはなぜでしょう。妊婦さんが「赤ちゃんに何か異常はありませんか?」と担当医に尋ねたくなる理由は何でしょう。検査の結果、異常が見つからなければ、医師も妊婦さんもひとまず安心できるでしょう。では、もし異常がある場合、お腹の中にいるうちにそれを知ることにはどんなメリットがあるのでしょうか。

もしその異常が、赤ちゃんがお腹の中にいるうちに治療できれば、当然メリットがあるといえます。これを胎児治療といいますが、残念ながら現在の医療では胎児治療ができる病気は非常に限られています。

 

ほとんどの病気については、産まれた後でないと詳しい検査も治療もできないので、「産まれた後に設備の整った病院でみましょう」ということになります。そして産まれる前にお母さんはその病気がどんな病気なのか、どんな治療法があるのか、どのような経過が予想されるのかなどについて説明を受け、出産までに心の準備をするのです。逆にいうと心の準備くらいしかできることはありませんが、妊婦さんにとっては大きな意味があることだと思います。

そしてもう一つ、お腹の中で非常に重い病気が見つかった場合に、赤ちゃんを産むか諦めるかという選択肢を、両親が持つことができるということも、胎児超音波検査の意義だといえるでしょう。

 

参考文献:宋 美玄「学校では教えてくれないセックス・妊娠・出産の話 女医が教える 後悔しないために知っておきたい11の事

このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事を書いたライター
産婦人科女医・性科学者。 1976年、兵庫県神戸市生まれ。2007年、川崎医科大学産婦人科講師に就任。2010年、イギリス・ロンドン大学病院に留学し胎児超音波を学ぶ。2010年から国内の病院にて産婦人科医として従事。2012年1月に第1子を出産 主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)、「女医が教える これでいいのだ! 妊娠・出産」(ポプラ社)、「女のカラダ、悩みの9割は眉唾」(講談社プラスアルファ新書) など。 産婦人科はもちろんセックスに関する診療カウンセリングを行う。 セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行なっている。■宋 美玄HP http://www.puerta-ds.com/son/
女性ホルモンに関するキーワード

アプリでGrappsが
サクサク読める♪

5000本以上の記事が読み放題♪悩める女性のバイブルGrappsを 電車の中でも移動中でも快適にチェックすることができます。