大人女子のためのWebメディア
検索
2017年09月27日更新

女医宋美玄「妊娠中に旅行に行ってもいいの?」

セックス・妊娠・出産に関する医学的に正しい情報を学校や日常生活で学ぶ機会は意外と少ないです。性行為から妊娠、出産に至るまでの“知っているようで知らない”正しい知識を、悩める女性へ向けて産婦人科医であり性科学者である宋 美玄(そん みひょん)先生が、優しく解説します。今回は、妊娠中の旅行についてです。
宋-美玄先生の悩める女性の処方箋

セックス・妊娠・出産に関する医学的に正しい情報を学校や日常生活で学ぶ機会は意外と少ないです。性行為から妊娠、出産に至るまでの“知っているようで知らない”正しい知識を、悩める女性へ向けて産婦人科医であり性科学者である宋 美玄(そん みひょん)先生が、優しく解説します。今回は、妊娠中の旅行についてです。

妊娠中に旅行に行ってもいいの?

健診で妊婦さんによく「今度旅行に行こうと思うのですが大丈夫でしょうか?」と聞かれることがあります。「できちゃった婚」なので妊娠中にハワイで挙式したいという人や、遠方の実家に帰りたいという人など、事情はさまざまです。

ドクターの中には基本的に妊娠中の旅行を禁止している人もいますが、私は個人的に自分自身が旅行好きなので、なるべく行かせてあげたいと思っています。全国でもごく限られた病院でしかできない治療を妊婦さんが受ける時には、新幹線や飛行機で移動してもらっているのですから、普通の妊婦さんがダメということはありません。

交通機関については、妊娠していても電車や新幹線には乗れますし、飛行機についてもほとんどの航空会社は妊娠9ヶ月までは普通に乗せてくれます。しかも優先搭乗。

眉をひそめる、妊娠中の旅行をすすめる情報

ただ、妊娠中の旅行をすすめるようなマタニティー雑誌や口コミには眉をひそめます。

たとえそれまでの妊娠経過が順調であっても、いつ何が起きるかは誰にもわかりません(もちろん、旅行へ行く行かないにかかわらずです)。あなたの旅行先に24時間体制でかかりつけでない妊婦を診てくれる病院がちゃんとあるでしょうか?

旅先で緊急事態となり、そこで長期入院なり、そのまま出産なりをしないといけなくなるかもしれないという覚悟はありますか?自分や赤ちゃんにとって不幸なことが起こった時に、旅行に行ったことを後悔しない自信がありますか?

 

診療をしていると、自分の患者さんが旅先で出血したり、早産しかかったりして入院して帰ってこなかったりすることはたまにありますが、なんとどうしても地元に帰りたいと駄々をこねて、ヘリコプターで帰ってきた患者さんを見たことがあります。

また、空港の近くの病院に勤めていた時のことですが、乗っていた妊婦さんが飛行機の中で急に出産してしまったため、本来の目的地でない、私の勤務先近くの空港に緊急着陸し、病院から新生児科医と産婦人科医が駆けつけたことがありました。そこまで周りを巻き込むのはさすがにどうかと思いますよね。

自宅から何百キロも離れた土地に旅行に行った時に、突然破水して超未熟児の赤ちゃんを産んでしまい、もちろん赤ちゃんは現地のNICUに入院。何か月も新幹線で病院通いをしないといけなくなってしまった人や、海外で早産してしまって、分娩費や赤ちゃんのNICUでの治療費を合わせて何千万円も請求された人も現実にいます(海外旅行傷害保険では、通常妊娠に関わる医療費はカバーされません)。

 

安定期といわれる時期でも、急に破水や陣痛が起こることはありますし、それは事前に予測できないことです。

「赤ちゃんが産まれてしまったら、もう遠出はできなくなるから今のうちに旅行に行きたい」という気持ちはよくわかります。ですから、妊娠中は旅行に行ってはいけないというわけではありませんが、あまり気軽に考えるのはよくありません。あくまでも自己責任で慎重に判断してください。

 

参考文献:宋 美玄「学校では教えてくれないセックス・妊娠・出産の話 女医が教える 後悔しないために知っておきたい11の事

このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事を書いたライター
産婦人科女医・性科学者。 1976年、兵庫県神戸市生まれ。2007年、川崎医科大学産婦人科講師に就任。2010年、イギリス・ロンドン大学病院に留学し胎児超音波を学ぶ。2010年から国内の病院にて産婦人科医として従事。2012年1月に第1子を出産 主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)、「女医が教える これでいいのだ! 妊娠・出産」(ポプラ社)、「女のカラダ、悩みの9割は眉唾」(講談社プラスアルファ新書) など。 産婦人科はもちろんセックスに関する診療カウンセリングを行う。 セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行なっている。■宋 美玄HP http://www.puerta-ds.com/son/
女性ホルモンに関するキーワード

アプリでGrappsが
サクサク読める♪

5000本以上の記事が読み放題♪悩める女性のバイブルGrappsを 電車の中でも移動中でも快適にチェックすることができます。