『実用書』と聞くと大人が読むものというイメージがありますが、最近は子ども向けの実用書が登場していることをご存知でしょうか?
生活に必要な技術を子どもの内から習得してほしい・したいという親子の支持を集めており、高学年向けだけではなく低学年向けのものも多く出ています。どんな種類の実用書があるのかをご紹介します。
子ども向け実用書が人気となった背景とは
子ども向け実用書は人気が高まり、ここ1年程で急激に種類が増加し、書店にも数十種類の実用書が並んでいます。
ブームの火付けとなったのは旺文社が2015年7月に発売した「学校では教えてくれない大切なこと」シリーズで、一番の売れ筋ともなっています。当初発売されたのは「整理整頓」であり、その後テーマは25種類に増え累計発行部数は170万部を突破しています。発売に至った背景として同社は、教科外の勉強を軸とした子ども向け実用書を作ろうという話から、人間力・生きる力が身につくように子どもをもつ親が気になるテーマを取り上げ、親のストレスを解消できる本を発行したということです。
内容も、小学生の主人公が基本的な生活習慣を学ぶ様子が漫画によって描かれていて低学年でも読みやすく、登場するキャラクターにファンがつくほどとなっています。
また、ここまで人気が高まった背景として、学校が教科指導に力を入れることで生活指導まで手が回らないことや、塾や習い事により放課後の遊びが少なくなることから時間の管理・人間関係などを学ぶことがかつてのように出来なくなっていることが大きいとされています。
おすすめの子ども向け実用書
では実際どんな子ども向け実用書があるのかをご紹介します。
・「学校では教えてくれない大切なこと」シリーズ 旺文社


出典:絵本ナビ
子ども向け実用書のきっかけとなったシリーズです。小学生の子どもを持つ親が悩んでいることをテーマにし、親にも子にも解決のヒントを与えてくれます。「自分を知る」「相手を知る」「世の中を知る」の3つのカテゴリーでテーマを決めており、「整理整頓」や「友達関係」などの定番の悩みから、「ステキになりたい」「カッコよくなりたい」「夢のかなえ方」などの要望を叶えるようなテーマ、「時間の使い方」「勉強が好きになる」「身近な危険~防災と防犯~」など親が読んでほしいと思うようなテーマなどさまざまです。
新刊も続々発売されており、親子で読んでみたいと思う内容が必ず見つかるはずです。
・「大人になってこまらない」シリーズ 金の星社
2016年に初めて出版され、現在7種類発行されています。「友だちとのつきあい方」や「自分コントロール」が人気です。特に自分コントロールは、子どもだけではなく大人が読んでもためになると大人に人気です。
「マナーと礼儀」「勉強が楽しくなるコツ」「ネットのルールとマナー」など親が読ませたいと思うテーマも揃っています。小学生が楽しめるように、漫画にギャグを織り交ぜて説明しているところも人気の要因となっています。
・「おしゃれマナーブック」シリーズ ポプラ社
女の子向けに特化したシリーズで、現在「マナーとしぐさ」「整理整とん術」「つたわる話し方」の3種類が発行されています。女の子向けというだけあり、女の子が好んで見てくれるようなかわいい漫画でマナーや身だしなみを伝えます。マナーを伝えるだけではなく、マナーがなぜ必要なのかということから学ぶことが出来ます。子どもや姪へのプレゼントとして購入する方が多いようです。
・「名著こども訳」シリーズ 日本図書センター
テレビでもおなじみの教育学者、斎藤孝が厳選しこども向けに訳したシリーズで、テレビ・雑誌などの各メディアでも度々紹介されています。「こども孫氏の兵法」「こどもブッダのことば」「こども武士道」「こどもドラッカーのことば」など、大人にも一見難しく感じる内容が分かりやすく書かれています。世の中を生き抜く力のヒントがあふれており、親子で繰り返し読みたい内容です。
・「君たちはどう生きるか」 マガジンハウス
子ども向けの哲学書も人気が高まっていますが、その代表ともいえる売れ筋本です。1937年に書かれた教養小説が漫画化され、2018年に大ベストセラーとなりました。人間としてあるべき姿を追い求めるストーリーは、子どもだけではなく、子どもをどう育てていいか自信が持てない親にも読んでほしいと言われ、実際大人にも人気となっています。約80年前に書かれたにもかかわらず、現代人が抱えるさまざまな問題にも通じる色褪せない内容となっています。
https://magazineworld.jp/books/paper/2947/
筆者は親子で本屋に行くことが多いですが、紹介したような実用書は本当に数が多いといつも感じます。「友達とのつきあい方」「自信の育て方」「気持ちの伝え方」など、子どもがこういうものを読んで学びたいと思うほどに現代の子どもは大変なのだなと感じていましたが、逆に言えばこういった本からいつでも学ぶことが出来るという選択肢があることはいいことなのだとも感じました。
親が読ませたい本、子が読みたい本というのは違ってくると思います。筆者自身、書店で見かけて読ませてみたいというものもいくつかありましたが、子どもが読んでくれるという気がせずに購入したことはありません。しかし一緒に読むことで少しでも心に響いてくれたらいいなと感じたので、まずは1冊購入してみたいと思います。
子ども向け実用書は、新たなカテゴリーとして定着する傾向にあります。今まで知らなかった方は、是非一度書店で手に取ってみてはいかがでしょうか。