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2017年03月11日更新

丸くてかわいい福島名物「玉羊羹」は和菓子屋さんの知恵が詰まった美味しい風船

福島県を代表する名物和菓子の一つが玉嶋屋の「玉羊羹(たまようかん)」です。地元の人たちにとっては懐かしい味、いつもと変わらぬ味として、世代を超えて今なお親しまれています。でも、玉羊羹の誕生には、ある秘密があったんです。

大人も子供も、みんな大好き「ボンボン羊羹」

Shebeko/Shutterstock
 
小さなゴム風船のなかに入っている羊羹。丸いお尻に爪楊枝をプツっと刺すとツルリと風船の皮が剥けて羊羹が出てくるユニークな和菓子です。福島県の二本松市にある老舗の和菓子屋さんである「玉嶋屋」の名物羊羹は、昔から今まで変わらず愛されている看板商品。地域や世代によっていろいろな呼び名があります。風船に爪楊枝で傷をつけて食べるその様子から、「切腹羊羹」なんて異名もあるようですが、一般的にはボンボン羊羹や風船羊羹と呼ばれています。おじいちゃんやおばあちゃんの世代になると「日の丸羊羹」という呼ぶ人もいるかもしれません。実は、現在の商品名「玉羊羹」という名前になったのは戦後の話で、それまでは日の丸羊羹といわれていたのです。

日中戦争中に作られた慰問袋用菓子だった

jreika/Shutterstock
 
まだ日中戦争中だった1937年。江戸時代から続く老舗和菓子屋の玉嶋屋に、日本陸軍から「慰問袋用の菓子を開発せよ」と指示が出されました。慰問袋は、戦地にいる出征兵士たちを慰め、そして士気を鼓舞させるために送られていたもので、日用品や食料品を送るための布袋のこと。当時、既に風船に入ったアイスクリーム「アイスボンボン」があり、それをヒントに圧縮空気を使って風船に羊羹を詰めるための装置を作りました。風船に注入することで、なんと一ヶ月以上も甘くて柔らかい羊羹を楽しめるようになったのです。それが、「日の丸羊羹」でした。戦地で兵士たちを癒した丸羊羹は、その後、世界一周飛行を行なった毎日新聞社の飛行機「ニッポン号」にも搭載されるまでになりました。戦後、玉嶋屋がお店を再開する際、軍国主義のイメージを避けるため、日の丸羊羹から今の「玉羊羹」と改めましたといわれています。

各地で愛されるようになった風船菓子

Tetat Uthailert/Shutterstock
 
玉嶋屋の玉羊羹は今でも当時の製法を守りつづけ、楢薪(ならまき)を焚いて羊羹を練っています。さっぱりとした甘さと小豆の風味は風船のなかで鮮度を保ち、今でもお土産品として人気を集めています。また、その形、食べ方の面白さから、駄菓子屋などでも似たようなお菓子が売られるようになり、今では北海道の「まりも羊羹」や新潟県の「玉花火」など全国のご当地銘菓にもなっています。今では「風船に詰まったお菓子」はあまり見かける機会は少なくなりました。なので、新しい世代の人たちとっては新スイーツとして、これからまた人気になるかもしれませんね。
老舗和菓子屋さんの苦労が垣間見える玉羊羹ですが、今でも昔と変わらぬ製法で、職人さんの手によって一つ一つ丁寧に作られています。薪を焚いて練り上げる羊羹、一つ一つ風船に詰められていく羊羹。日持ちするので、福島旅行のお土産にいかがでしょうか。



thumbnail picture by Moolkum/Shutterstock

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