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2017年08月31日更新

万国共通!世界中で活用される「うま味」

特集「UMAMIの真髄に迫る」第3回

世界共通の味覚となりつつある「うま味」の基本を探るべく、私たちは「うま味」の情報発信を通し、理解を深め、健康な食生活への貢献を目的とする、「NPO法人うま味インフォメーションセンター」を訪ねた。そこでは「うま味」のルーツが100年以上前に日本人によって発見されたことがわかっただけでなく、「うま味」試飲メニューを体験し、「論より証拠」で「うま味」を実感することとなった。

その衝撃の大きさもあり、試飲で得た体験を意識しつつ、改めて「うま味」の構造や実際に世の中でどう活用されているかなど、具体的に同センターの二人に話を伺った。

<目次>

「うま味」は胃の吸収を活性化させる効果も?

同センターが用意していた「うま味」試飲キットによる体験を得たことで、「うま味」にまつわるさまざまな特徴が体験的にわかったわけだが、まず印象的だったのが【甘味、酸味、塩味、苦味などの味覚とことなる感覚】( http://www.videlicio.us/STYLE/WKD6Z/ )であることが明確にわかったことだ。
「基本味」と呼ばれる5つの味覚と、代表的な食材例(提供...

「基本味」と呼ばれる5つの味覚と、代表的な食材例(提供:NPO法人うま味インフォメーションセンター)

実際「うま味」は現在、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」と並ぶ「基本味」のひとつとして定義されているという。この定義が確立されたのは最近のことだと、同センター理事であり農学博士の二宮くみ子さんは言う。

「1908年に東京帝国大学(現東京大学)教授の池田菊苗博士によりうま味は発見され、その存在は世界に広まりましたが、一方で世界では『うま味は日本人にしかわからない感覚』などという認識も根強くありました。そこで、より客観的なうま味の存在を確かめるために、味覚生理学や口腔生理学、栄養学、食品化学などの研究者により、1982年に研究促進のための研究会が発足。うま味に関する国際シンポジウムが欧米や日本で開催され、世界的に学術的な情報交換が進みました。その結果、2000年にうま味が甘味、酸味、塩味、苦味とも違う舌の部分で物質を受け取るしくみがあることが明らかになり、その後、2002年に『基本味』のひとつとして認定されました」

そしてその「うま味」を感じる構造の解明が進み、「うま味」のもたらすさらなる効果が明らかになったと、二宮さんは続ける。

「実はその8年後の2008年には、うま味が胃でも感じることも学術的に証明されました。そして胃でうま味が感じられることで、タンパク質の消化吸収をはじめる指令が脳から伝えられることも解明されました」
「うま味」は舌だけでなく、胃でも感じることが2008年...

「うま味」は舌だけでなく、胃でも感じることが2008年に発見。これにより、「うま味」が食欲増進につながることもわかった(提供:NPO法人うま味インフォメーションセンター)

「うま味」は感覚的な要素だけでなく、科学的にも、食を増進させる効果を持っていたのだ。前回触れた、池田菊苗博士がかつて「日本人がもっと食を太くするために」と「うま味調味料」を開発したわけだが、それは単に「おいしさを増進」させるだけでなく、身体機能的にも効果があったということにもなる。

うま味の相乗効果は約7~8倍! 世界各国で活用されていた

次に印象的、いや、衝撃的だったのが、「異なるうま味が合わさると、さらにうま味が倍増すること」だ。このことを考える前に、まず「うま味」には、1908年に発見された「グルタミン酸塩」のほかにも、代表的な2種の成分があることを理解しておかなければならない。

前に二宮さんが説明した通り、1908年に池田菊苗博士により、グルタミン酸塩が「うま味」として発見されたわけだが、その5年後の1913年、池田博士の弟子である小玉新太郎氏により、かつお節のうま味物質が核酸の一種である「イノシン酸塩」と発見。さらに40年以上を経て、1957年にヤマサ醤油研究所の國中明博士が、核酸の一種「グアニル酸塩」も「うま味」物質であることを確認した。

「他にもアスパラギン酸やアデニル酸などの塩類も、弱くはありますがうま味を持っていますが、一般的にうま味として認識されているのは、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3種と言われています」(二宮さん)
「うま味」のある代表的な3要素「グルタミン酸」「イノシ...

「うま味」のある代表的な3要素「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」と、それぞれを含む食材の事例。実は「イノシン酸」「グアニル酸」には「グルタミン酸」も含まれ、「うま味」の相乗効果はこの段階でも発揮されている(提供:NPO法人うま味インフォメーションセンター)

この表を見て気づくと思うが、「うま味」というとこんぶやかつおだし、干し椎茸をイメージしそうだが、池田博士がドイツ留学時に気づいたように、トマトや玉ねぎ、アスパラガスなど、「うま味」とあまり縁がなさそうな野菜類にも「うま味」は含まれているのだ。実際、『UMAMI BURGER』はそうした野菜類の「うま味」も上手に活用していたのである。

そして改めて、その相乗効果の度合いについて尋ねると、同センター理事の石井正さんは少し嬉しそうに、

「約7〜8倍になると言われています」

と回答。確かに、実際に体験してみると、そのぐらいのインパクトある倍増度だった。

そしてその相乗効果は、万国共通で食文化の中で上手に活用されてきたと、石井さんは続ける。

「日本ではこんぶとかつおの合わせだしが代表的ですが、洋食では玉ねぎやセロリなどと牛肉でブイヨンを作り、中華では長ネギと生姜と鶏肉でスープを作ります。うま味は日本だけ、と言われてきましたが、実は世界的にうま味を活用した調理法が歴史の中で確立されてきたのです」
うま味の相乗効果の事例。和食、洋食、中華と、それぞれ「...

うま味の相乗効果の事例。和食、洋食、中華と、それぞれ「うま味」を出すために掛け合わせている調理法が確立されてきたのだ(提供:NPO法人うま味インフォメーションセンター)

熟成を生かした「うま味」も世界中で育まれてきた

そして、最後に体験したチーズによる「熟成によりうま味が増すこと」について、その構造を詳しく話を聞いていくと、二宮さん曰く、

「基本的には大豆や魚介類、乳などのタンパク質が熟成の過程でアミノ酸に分解し、グルタミン酸が増えることで、うま味が増しているのです」

とのことだ。

日本でなじみのある「熟成」した「うま味」食材といえば、醤油や味噌などの調味料である。だが、これまた日本人に比較的なじみのあるチーズも、醤油や味噌と同じ構造で「うま味」が増していることは、非常に興味深い。

そしてその観点で世界の食材に目を向けると、世界各国で「熟成」を生かした「うま味」食材が多くあることがわかる。
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世界の伝統食品の一覧。欧米ではトマトや肉などの「うま味...

世界の伝統食品の一覧。欧米ではトマトや肉などの「うま味」を生かした食材が目立ち、日本を含むアジアは大豆や魚介類の「うま味」を生かした食材が多い(提供:NPO法人うま味インフォメーションセンター)

表を見れば明らかだが、世界中の伝統食品を見てみると、「熟成」を通して「うま味」が増した食材が、その土地の食文化に根ざしていることがわかる。

「うま味」は万国共通……改めて感心している私に、二宮さんが最後にこう付け加えた。

「実は赤ちゃんの時点で、うま味を感じることがわかっています。母乳と、赤ちゃんが生まれる前にいる羊水のなかにも、グルタミン酸が含まれていることわかっています。また、赤ちゃんに苦味や酸味のあるものを与えると拒絶するのに対し、うま味のある野菜スープは穏やかに飲みます。赤ちゃんの段階でうま味が必要だと、感覚的にわかっている証拠です」

言うまでもなく、人類はみな最初は赤ちゃん。その段階から世界共通で「うま味」を感じているのである。その原点を発見したのが日本人であるということを、同じ日本人として改めて誇りに思う。

しかし、こうして「うま味」の基本部分がわかり、さらに世界でこれほど「うま味」が活用されていることが見えてくると、ひとつひとつの「うま味」が各地でどのように育まれ、今日に至るのかがより詳しく知りたくなるのが人情である。

となると、まずはどの「うま味」から探るか……やはり日本人として、なじみのあるあの「だし」に使う食材を知るべきではなかろうか。ということで、次回からは「うま味」を生かした食材の現場を訪ねてみようと思う。
取材・文=種藤潤
編集=大狼章弘

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この記事を書いたライター

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