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2017年10月07日更新

オリジナルのショートケーキが食べられる「ファミリーレストラン不二家」のひみつ

西洋のハイカラをいち早く取り込んだ「不二家」VOL.2

「不二家」は明治時代後期に、日本ではまだなじみの少なかった洋菓子を売る店として誕生した。インテリアはアメリカから直輸入し、持ち手を下に押さえるとソーダ水が出てくる「ソーダ・ファウンテン」や日本初となるショートケーキなど、西洋のハイカラを次々と打ち出した。

昭和初期には店舗にイート・インの概念を取り入れ、喫茶、軽食レストランをはじめていた。(前回の記事 http://www.videlicio.us/STYLE/xGKKw )。昭和12年の伊勢佐木町店(現・横浜センター店)のメニューを見るとコーヒーが15銭、パフェーが40銭だった。当初の不二家は、庶民が気軽に訪れることのできる現代のイメージよりも、もう少しアッパークラス寄りの展開をしていたのだ。
「現在の不二家にシフトしていくのは高度経済成長期。一般家庭でもお父さんがお土産にケーキを買って帰るといった需要も増え、テイクアウトの洋菓子としての店舗を増やしていきました。いち早くフランチャイズシステムを導入したわけです。1963年(昭和38)にフランチャイズ1号店、伏見店(京都)が誕生します。日本では「フランチャイズ」という言葉がほとんど知られていない時代ですね」(「不二家」広報室・上田博子さん、以下同)
FC一号店の伏見店の開店当時の様子

FC一号店の伏見店の開店当時の様子

その5年後には全国のフランチャイズ店舗数は100店舗を超え、2017年6月現在、757店舗まで増えた。ちなみに、「不二家」の直営店舗は170である。

おなじみの「ペコちゃん」は1950年に誕生

キャラクター「ペコちゃん」は、1950年(昭和25)に誕生した。「不二家」の目印とも言えるペコちゃん人形も同時に店頭に置かれるようになる。
「永遠の6歳」という設定のペコちゃん。衣装は季節ごとに...

「永遠の6歳」という設定のペコちゃん。衣装は季節ごとに年間8、9回変わるというから想像以上に頻度は高い(「OTOWA FUJIYA」店頭のペコちゃん人形)

「ちなみに、昭和30年代前後まではスタッフが一体ずつ紙の張子で作っていました。ただ、店舗が増えるにつれて間に合わなくなり、やがてビニールに、さらに現在のプラスチック製のものになります。ペコちゃんの素材、そして表情も時代ごとに変化しているんです」
初期のペコちゃん(右)とボーイフレンドのポコちゃん(左)

初期のペコちゃん(右)とボーイフレンドのポコちゃん(左)

上田さんによれば「ペコちゃん」が誕生したきっかけは1951年に発売された「ミルキー」。そのパッケージ用にお母さんや子どもに親しまれやすいキャラクターとして温められていたが、その前年の1950年に店頭人形が作られたのが先になってしまった。当初は複数のイラストレーターが描いていたため絵柄は一定ではなかったという。

なお、「不二家」が作ったキャラクターの元祖は1934年(昭和9)に発売された「フランスキャラメル」のパッケージに使われた西洋人の少女である。
あのペコちゃんよりも早かったに不二家の人気キャラ第一号...

あのペコちゃんよりも早かったに不二家の人気キャラ第一号。「フランスキャラメル」

「ペコちゃん」という名前は各地で子牛の愛称として使われていた「べこ」から、「ポコちゃん」は東北地方の方言で子どもを意味する「ぼこ」から取られたという。

著名な建築家のデザインによるロードサイドレストラン

さらに、1978年(昭和53)には株式会社不二家ロードサイドレストランを設立(現・株式会社不二家フードサービス)。同年、埼玉県川口市に郊外型レストラン第1号となる川口青木店がオープンした。

「モータリゼーションの到来など時代の変化を感じ取り、郊外型ファミレス事業を始めました。フランチャイズ店舗と同様、購入した洋菓子を店内で食べられるうえに、メニューには伝統の洋食、パフェやホットケーキなどが並ぶ不二家らしいファミレスを実現しました」
ロードサイド第一号店の川口青木店(開業当時)

ロードサイド第一号店の川口青木店(開業当時)

初期の不二家レストランはアメリカの著名な建築家、ドナルド・クレーバー氏が基本デザインを担当した。その後、続々と誕生したロードサイドレストランの外観とインテリアは斬新で、さらにいくつかの「型」がある。

たとえば、アメリカの建築家・パトリック・シュアー氏によるデザインは「103コロニアル型」、フランス在住のデザイナー・小川準一氏による作草部店(千葉県千葉市)は「NEW110型」と呼ばれている。
「103コロニアル型」の店舗

「103コロニアル型」の店舗

「じつは、以前は新宿や横浜といった一部の大型店舗には中華料理のフロアがあったり、アメリカのカジュアルダイニングを再現した『ブロンズパロット』を展開するなど、様々な試みを行ってきたんです。いずれも本格志向で時代を先取りする挑戦でした」
昭和30年代に本格中華を提供していた

昭和30年代に本格中華を提供していた

「ブロンズパロット」のメニューブック

「ブロンズパロット」のメニューブック

1984年当時の「ブロンズパロット」メニュー

1984年当時の「ブロンズパロット」メニュー

不二家レストランだけで食べられるオリジナルショートケーキ

現在、不二家レストランは全国に47店舗を展開する。フードメニューの中でとくに人気なのが「エアーズロックハンバーグ」。特徴は観光名所として有名なオーストラリアの巨大岩石「エアーズロック」さながらの厚みだ。
「厚み」が圧倒的な人気メニュー「エアーズロックハンバーグ」

「厚み」が圧倒的な人気メニュー「エアーズロックハンバーグ」

創業当時からほぼ変わらないレシピだという「ビーフシチュー」も「不二家レストラン」の伝統メニューである。
洋食メニューの代表格「ビーフシチュー」

洋食メニューの代表格「ビーフシチュー」

最後に注目したいのが1960年代にすでに完成形となった「イタリアンショートケーキ」。これはファミレス「不二家」でしか味わえない限定商品だ。
不二家レストランで出されているイタリアンショートケーキ

不二家レストランで出されているイタリアンショートケーキ

「原型はイタリアの『ズッパ・ロマーナ』というケーキ。丸いボウルに生地を詰め込んで作るため、切り分けるとこのような形になります。当時はイタリア人のシェフがいて、彼の提案で導入したメニューと言われています」

「ペコちゃん」と洋菓子というイメージが強かった「不二家」がファミレスを始め様々な外食店を展開をしていたのは意外な人も多いだろう。ショートケーキを生み、そして洋食を日本人にいち早く紹介をした老舗でもあったのだ。
取材・文=石原たきび
編集=大狼章弘

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