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2017年10月16日更新

生でも焼いてもホントに美味しい、「粕漬け」食べ比べ選手権

特製の酒粕で漬け込んだ魚や魚卵の粕漬けを食べ比べてみた

きっかけは当連載の編集会議で交わされた何気ない会話だった。「粕漬けって美味しいよね」「でも、そもそも『酒粕』って何なんだろう」。

ここで、編集部員の一人が言った。「築地市場に『田中商店』っていう粕漬け専門店があってさ。鮭や銀だら以外にもいろんな粕漬けを売ってるんだけど、どれもめちゃくちゃ美味しいんだよ」。

かくして、発酵デザイナーインタビューに続く“発酵シリーズ”第二弾の企画が決まった。様々な魚介類の粕漬けを食べ比べてみようというものだ。

使用する酒粕は栃木の酒蔵が一年間熟成させた「ひね粕」

いざ、粕漬けの聖地・田中商店へ。ここは大正14年創業。まだ日本橋に魚河岸があった時代だ。翌年の関東大震災によって市場は築地に移る。

三代目の田中誠一郎さんに話を聞いた。
祖父の代からの味を守り続ける田中さん

祖父の代からの味を守り続ける田中さん

「創業当時は『塩干(えんかん)』といって、街の乾物屋とか飲食店向けに塩鮭、たらこ、いくら、すじこなどを売っていました。一方で、祖父が自分で食べる用に独自の粕漬けを作っていたんですが、それを食べたお客さんに『売ってくれ』と言われたのがきっかけです」(田中さん、以下同)

最初は鮭の粕漬けのみだったが、「他にはないの?」という声が相次いだため、田中さんの代から様々な魚介類の粕漬けを作り始めたという。
ショーケースにずらりと並ぶ粕漬け

ショーケースにずらりと並ぶ粕漬け

粕床の作り方はこうだ。

築地場内で仕入れた魚介を切り身にして天日塩で一晩置く。こうすることで、余計な水分が抜けて旨味が凝縮されるのだ。使用する酒粕は栃木の池島酒造が一年間熟成させた「ひね粕」。これをオリジナルの調味液(黒砂糖、三温糖など)で溶いた粕床に魚介を一週間ほど漬け込む
素材となる魚介の味をよりふくよかにするひね粕

素材となる魚介の味をよりふくよかにするひね粕

池島酒造から届いたひね粕を容器に移す

池島酒造から届いたひね粕を容器に移す

「容器も入れて3kgぐらいで、大体切り身100切れ分。夏と冬では多少量を変えますが」
ひね粕にオリジナルの調味液を加える

ひね粕にオリジナルの調味液を加える

これは…あれだ! かりんとうの匂いだ!

これは…あれだ! かりんとうの匂いだ!

「いわゆる黒蜜ですからね。僕は牛乳で薄めて飲んでますよ。カルピス的なかんじで(笑)」
手作業でかき混ぜる

手作業でかき混ぜる

さらに撹拌器で1時間半ほどかき混ぜれば完成

さらに撹拌器で1時間半ほどかき混ぜれば完成

「父の代まではオール手作業でした。いきなり撹拌器にかけるとダマが残っちゃうので、いまでも最初は手でかき混ぜています」
美しいスペシャルひね粕が完成

美しいスペシャルひね粕が完成

「酒粕は白いけど、ひね粕はクリームがかっているでしょ。一年かけて何度も熟成と発酵を繰り返すことで、この色になるんです。通常の酒粕と比べて甘さ控えめでまろやか。さらに口の中に広がるコクと味の深さが特徴ですね」

なるほど。これはフランス料理で言うところの“ソース”なのだ。余談だが、粕漬けに似ている西京漬は京都の西京味噌を使用しており、酒粕は入っていないそうだ。

本来は脇役であるはずの酒粕だが、今回は主役

興奮気味に10種類の粕漬けを購入。撮影スタジオに移動して関係者5人による試食会が始まった。
粕漬けパラダイスである

粕漬けパラダイスである

写真上から時計回りに、帆立貝柱(700円)、銀だら(550円)、数の子(900円)、銀むつ(800円)、いくら(1200円)、紅鮭(450円)、さわら(450円)、からすがれい(450円)、金目鯛(500円)、そして中央がたらこ(630円)だ。

田中商店は2014年の東京駅開業100年の際に販売された記念弁当に、からすがれいの粕漬焼を提供している。
まずは紅鮭と帆立貝柱を焼く

まずは紅鮭と帆立貝柱を焼く

おお、さっそくいい匂い…(あとでわかったが、帆立貝柱は生で食べた方が美味しい)。

本来は脇役であるはずの酒粕だが、今回は主役。素材の味をどう変えてくれるのか、そこに注目が集まる。個人的には、粕漬けといえば鮭ぐらいしか食べたことがない。新境地に足を踏み入れようとしている。
続いて5種類の魚たち

続いて5種類の魚たち

お試しで焼いてみてわかったが、酒粕は焦げ付きやすい。そのため、ペーパータオルに包んで大雑把に拭き取り、表面部分だけ残した。
いくらの粕漬けは、ここ1、2年で作り始めたもの

いくらの粕漬けは、ここ1、2年で作り始めたもの

ちなみに、酒粕だけ舐めても美味だった。人間の食欲を刺激する奥深い何かがある。
酒粕というドレスをまとう数の子

酒粕というドレスをまとう数の子

粕漬けは高貴ともいえる甘みとコクを生み出す

さて、いよいよ実食。ここで脳裏に浮かぶのが「やっぱり、ご飯がほしいよね」という欲望。もちろん用意してある。
白いご飯だけでも美味しそうだが…

白いご飯だけでも美味しそうだが…

そこに銀だらの粕漬けが乗るとハーモニーが生まれる

そこに銀だらの粕漬けが乗るとハーモニーが生まれる

初っぱなから全員が唸った。銀だら自体の旨味を引き出しつつ、全体がまろやかなのだ。身もほろほろに柔らかく、口の中でとろける。
お次はこちらを

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ご飯 meets たらこの粕漬け

ご飯 meets たらこの粕漬け

たらこの粕漬けに関しては「甘みが増している」という声が大勢を占めた。
一番高額だったいくらの粕漬けはクリーミー

一番高額だったいくらの粕漬けはクリーミー

カメラマンが感心したようにつぶやく。

「粕漬けにすると全部同じような味になるかと思ったけど、むしろそれぞれの味が引き立っていますね。酒粕の甘みとたらこやいくらの甘みが融合して、両者がケンカしていない。ウチの子供とかは酒粕の匂いを嫌がるけど、このマイルドさならイケそう」

用意した粕漬けも多めに炊いたご飯もきれいになくなった。今回わかったのは、酒粕に漬けることで魚介の内部で何かすばらしい化学反応が起き、高貴ともいえる甘みとコクを生み出すということ。

編集者が言う。

「今気付いたんだけど、粕漬けの焼き魚って冷めても美味しいんだね。食べ残しが問題になっている大磯の中学校もこれを導入すればいいのに(笑)」

調べてみると、すでに平安時代の書物に「粕漬け」の記述があるようだ。もともとは保存食として誕生した粕漬けだが、さらに味までグレードアップするとは。先人の知恵はすごい。

なお、田中さんは新商品も開発中だという。

「たらこの膜を取ったものの粕漬けです。ディップのようにパンやバゲットに塗って食べるイメージ。年内には販売できればと」
おおお、こちらも楽しみだ

おおお、こちらも楽しみだ

取材・文=石原たきび
撮影(料理)=遠藤貴也
編集・撮影(田中商店)=大狼章弘
■田中商店 < http://tsukiji-tanaka.com/

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この記事を書いたライター

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