

今回はみなさんの中にも身近に利用している方が多いであろうインスタグラムにまつわる肖像権と著作権の話。後で慌てることなく楽しく活用するために、撮った写真をアップロードするその前に、法に触れる条件を知っておきましょう。今回は美人弁護士の塩見直子先生に監修いただきました。
イベント好きインスタグラマーの苦悩
LiBzLIFE編集部でもインスタグラムを利用して、日々の思い出をアップしている人は多いです。手作りの料理やレストランでの食事、旅行中の風景など、様々です。フェスやディズニーランドなど、人が集まる場所へ足を運ぶことが好きな人は、やっぱりそこでも写真を撮って、インスタグラムへアップロードしたりしています。
そこで気になるのが、アップロードしてはいけないかもしれない写真。何を撮ってはいけないのか、何をインスタグラムへアップロードしてはならないか、判断は意外と難しいですよね。インスタグラムを見れば他のユーザーが上げている写真にだって、本当は違法なものが含まれていることもあります。
なるべく悩まずインスタグラムをもっと楽しむために、しっかりとした判断基準をもっていたいですよね。そこで今回は、インスタグラムへの写真のアップロードに関する法律的見解をご紹介いたします。
他人が写りこんだセルフィーは上げない方がいい?
まず、公共の場所で写真を撮ることで侵害されうる法的権利は、写真を撮られる方の肖像権です。これは、プライバシー権の一種で、判例にみられる言い回しを使えば「みだりに自己の容ぼうなどを撮影されない自由」です。憲法や法律においてはっきりと肖像権に言及した箇所はありませんが、裁判例や判例がこの権利を認めているので、肖像権が法的保護に値することは争いのないところです。ですので、自分の肖像権を侵害されたら損害賠償請求や差し止め請求ができます。
ただし、肖像権の保護にも一定の制約がありますので、肖像権の侵害になるかどうか具体的なケースごとに考えなければなりません。具体的には、撮影された方の社会的地位や撮影内容・撮影の場所・目的・撮影の必要性・侵害された程度などを総合考慮して、肖像権の侵害になるかどうかが判断されます。
例えばディズニーランドのようなテーマパーク内やフェス等のイベント会場に来ている人は、他人の写真に写りこんでしまうことをなんとなく予知しているはずです。その場合には肖像権侵害と判断される可能性は低くなります。ただし、他人の写真に写りこむことは予知していても、インスタグラムやブログなどネット上の媒体にアップされることまで予知していたかといわれると、それは難しいでしょう。公共の場所で撮られた写真であっても、誰もが見えうる状態へ公開した時点で肖像権の侵害と判断される可能性はあります。
塩見直子先生コメント
美術館で勝手に写真を撮っちゃダメ?
美術品をインスタグラムに上げることが著作権侵害となるのでしょうか。
この問題は、そもそも、その美術品に日本の著作権が存続しているかどうかで異なります。作者の死後50年経てば著作権は原則として消滅するため(著作権法第51条)、この場合には著作権侵害は問題となりません。一方で、著作権の存続する美術品を撮って公開した場合、複製権(同21条)や公衆送信権(同23条)という権利に抵触して著作権違反となります。
美術品に著作権が存続していても、私的使用のための複製(同30条)は認められているので、自分のスマートフォンの中の写真フォルダを出ない範囲で楽しむことは著作権違反を問われない可能性が高いでしょう。ただ、インスタグラムに上げるなど不特定多数に見せるということなれば著作権侵害となりますので注意してください。
塩見直子先生コメント
他人の投稿を加工してはダメ?
インスタグラムを見ていると、素敵な写真が多く、つい自分で加工して使いたくなってしまいますよね。インスタグラムの利用規約によると、他人の投稿のシェアは許されています。ただし、他人の写真を加工してそれをあたかも自分の写真のようにアップロードすれば、同一性保持権(著作権法第20条)の侵害を問われることになり兼ねません。
インスタグラムの普及により、気軽に他人の写真を見たり保存したりできる時代になりましたが、肖像権や著作権など法律上の権利を侵害しないよう、注意して利用しましょう。
今回ご協力いただいたのは……
塩見直子 弁護士
第二東京弁護士会所属 登録番号: 42603
■東京ファミリア法律事務所
東京都渋谷区神宮前3丁目14番3号
コートモデリア表参道205
(表参道駅から 徒歩7分)
東京ファミリア法律事務所 公式ウェブサイト
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まさに、LiBzLIFE読者にとって頼もしいお方!
美人で親しみやすくとても話しやすい先生です。
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Tel: 050-5578-9775
出典:LiBzLIFE | “働く”も”楽しむ”も夢中になれる毎日を。