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2018年05月11日更新

【ひとみしょうのお悩み解決】小説と歌詞の書き方って違うの?

“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

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〜「38歳・女性」からの質問〜

ひとみさんは、小説も書かれているそうですね!

小説などの長い文章と歌詞などの短い文章では書くときに何か違いはありますか?

西加奈子さんと椎名林檎さんが対談している番組を見たことがあって、性格だけではなく、書き方がだいぶ違う印象を持ちました。

〜ひとみしょうさんの回答〜

基本的にはおなじだけど、細部はちがう、というのが答えですね。

小説も歌詞も、ぼくの場合は、「こういう雰囲気を言葉にしたい」というところから始まります。

 

たとえば、宣伝みたいになって恐縮ですが、今年の夏にアマゾン独占販売になる紙の本の小説も、こういう雰囲気(空気感)を言葉にしたいという動機で書き始めました。この小説における「こういう雰囲気」を具体的にいうと、オペラ『カヴァレリアルスティカーナ』の間奏曲(すっごくいい曲だからネットで聴いてみて!)が持つ雰囲気であり、鈴虫の音が持つ雰囲気でした。その雰囲気を、不妊治療と夫婦愛という設定で語りました。

 

ぼくは作詞をやっていた頃から、勝手に「言葉変換装置」と呼んでいるのですが、こういう思いを言葉にしたいという思いが先にあって、それを言葉変換装置を通して言葉にする……この繰り返しをやっていたように思います。

 

作詞の先生が言葉変換装置という言葉を最初に使ったのか、生徒が使ったのか忘れましたが、とにかく作詞をやっているときは、頭の中にあるこの言葉変換装置をより丈夫に、より燃費を良くすることに意識を集中させていたと記憶しています。

 

で、そこそこ、この機械が使えるとわかったので、過去に広告のコピーを書いたり、今こうして人生相談とかエッセイとか小説を書いているんですが、なにを書くにしても基本はまったくおなじですね。「まったく」おなじ、100%おなじです。変換装置に油をさしたり、なんやかんやメンテナンスしながら、かれこれ20年以上が過ぎました。

細部がちがうというのは、言葉に持たせる情報量が、小説と歌詞とではちがうということです。

 

とくに歌詞においては、たとえば夏という単語は、燃えるような恋とか、彼氏のことがすごく好きで好きでたまらない気持ちの象徴として使われます。桑田佳祐さんとか小田和正さんとかユーミンなど、今のJ-POPシーンを開拓した人たちって、このへんの「言葉に持たせる情報量」が、かなり多め~多めなので、聴いていて飽きないんですよね。林檎さんもそうですよね。

 

情報量少なめ~スカスカだと、1回聴いて「うんわかった」ってなります。で、そのCDをブックオフに持って行くと。

 

小説も、ある程度は言葉にいろんなものを象徴させて使います(というか言葉が本来的に持つ象徴性みたいなものは歌詞も小説も変わらないので)。でも小説は歌詞とちがって、ある程度の分量を物語る必要があるし、長いのでどうしても濃いところと薄くさらっといくところの両方がないと、読んでいて肩が凝ってしかたないので、歌の歌詞ほど言葉の組み合わせに厳密にならないですね。でもときどき、歌の歌詞みたいな言葉の使い方をする文章を差し挟むと、なかなか小気味よいリズム感が出て、ぼくはそういうのが好きです。

でもこうやって書きながら思ったんですが、言葉が象徴する意味みたいなものって、あとからいくらでも勉強できるんですよね。林檎さんとか井上陽水さんとか桑田さん、ユーミンみたいに、若くしてすごくぶっとんでそのへんの感覚が研ぎ澄まされている一部の人以外はみんな、いつそれを勉強してもおなじような気がします。

 

小説も歌詞も、この雰囲気、この気持ちをとにかく伝えたいんだ!という熱い気持ちを、いかに適切な文字配列に置き換えるか、というのが命で、ぼくら文屋はその配列をする職人にすぎないのだろうなと思います。むかし見た、六本木の駐車場のおっちゃんみたいなものです。狭い狭い駐車場に、メルセデスS600 longやらベントレーやらを隙間なくマジでぴったり駐車して「どや?」みたいな顔をしているおっちゃんと同じ。(ひとみしょう/文筆家)

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この記事を書いたライター

〜文筆家〜webに恋愛コラムを6000記事以上(ギネス級!)寄稿したweb恋愛コラムの第一人者。獲得PVもたぶんギネス級。コラムの受賞歴多数(小学館『Menjoy!』編集部より)。著書数冊(すべて電子書籍)。 FB Twitter
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