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2021年03月18日更新

【女子のばんそうこう】「男子の服をたたむ女子」の思い出

女子のばんそうこう

 

 

前回のコラムにおいて私は「女ってこう、という縛りや呪いが少ない年頃の女子はもう少し自由だった」と書いた。例えば小学生の頃は性別は確かに女でも「ザ・女」としてふるまう必要性がほとんどなかったし。では私はいつから「女ってこう」という列車に無意識に乗り始めたのか。思い返すと、はっきりしたきっかけがあったのだ。

 

中3の時、私は同じクラスのM君に片思いしていた。他県からの転校生で言葉の端々に方言が混じるのも、他の男子よりもイカツく男っぽかったのも、学校一の俊足だったのも、全てが好きだった。席が隣だったのでよくお喋りしてふざけあってた。それ以上のことは何もないけどそれだけでじゅうぶん楽しかった。

 

あれは放課後だったか、女子何人かで教室で話してた時のこと。私は自分の席に座り、YちゃんがM君の席に座っていた。M君は部活中だったのか、机の上に学ランやらシャツやらが脱いだまんまのぐしゃぐしゃで置いてあった。するとYちゃんは私たちと話しながら、いかにも無意識かつ手慣れた様子でM君の脱ぎ散らかした制服をたたみ始めたのだ。

私は衝撃を顔に出さないようにするのに必死だったけど、Yちゃんはキレイにたたみ終わると何事もなかったかのように話を続けた。

 

Yちゃんはスポーツ万能でちょびっとだけワル要素があり、でもひねくれてもいず、どこかクールな雰囲気の女子だった。皆からちょっと一目置かれるような女の子が、男子の脱ぎ散らかした制服を当たり前のようにたたむ姿を見て、私が受けた衝撃は次の2つだった。①「は??私の好きなM君の制服を!?気安く!?」②「男の脱ぎ散らかしを当たり前のようにたたむって大人の女みたい…」そして結局、①の嫉妬は②の「なんかカッコいい」という感情に負けた。

 

その後、Yちゃんが他の男子の脱ぎ散らかしをたたむ姿を何度も見たのでM君に限ったことではなかったけど、何だか自分の知らないワンランク上の「女のふるまい」を見せつけられた(しかも嫌味なくサラリと)気がした。モテる女とはこれなのかーー!と思った。それが猛烈にかっこよく思えた。なのでそれ以来、Yちゃんのいないとこでは私がM君の脱ぎ散らかしをたたんで悦に入っていた。いま思うとほほえましいようなアホすぎるような…である。

 

あの日から私には「いい女は男の身の回りの世話を当然のようにサラリとやるものである」という認識がハッキリ叩き込まれたのである。

 

うちの母は専業主婦だけど「どうせ結婚したらやらなきゃいけないんだから今やる必要はない」と言い、女の子だからこれをやれとは一切言わなかった。高校は女子校でそれこそ「女」という概念を忘れて自由に過ごしたし、大学で入ったサークルも男女の区別があまりない雰囲気だった。だから私は中3の時に学んだ(?)「いい女のふるまい」を活用する機会はほぼないまま成人した。
それでもサークルの合宿などでは「女だから料理作りに参加しないと恥ずかしい」と思い、ろくに料理もできないのに台所をうろうろしてたし、男子がボタン取れたりした時のために裁縫道具くらい持っておかないと女としてヤバい!とか思っていた。

 

【女子のばんそうこう】「男子の服をたたむ女子」の思い出

 

これは別に誰かに「けしからん!」と言いたい話ではない。ただ、

 

女は元来、世話好きである。

男や家族の面倒を見るのが苦ではない。

大人の女はそれができて当たり前。

(男はそういうの苦手だから!)

 

こういう考えが常識っぽく浸透しているけど、今となっては「そう思わされてきたんだなー」と思うばかりだ。いったい誰に?人によっては「社会に」「親に」「パートナーに」かもしれないが、私の場合は「モテ」というか「恋愛市場に」だろうな。もちろん自分でかっこいいと思っただけで「そうすべきだからそうしろ!」とは強制されてない。むろんYちゃんのせいでもない。だけど幼い頃からそういった空気はそこかしこにあって、巧妙かつじわじわと私たちを「女子」から「社会規範に則った女」に近づけてゆくんだな…と今は思う。

 

もちろん「誰かの世話をする」思いは素晴らしい。人の世話が好きというのは大変な美徳だと思う。でもそれは「女だから」ではないんだよな。「それやったら愛されるからそうすべき」もやっぱり違うんだよな。

 

特にこれからの時代、男だって自分のことを自分でするのは当たり前だし、家族に何かあった時のために人の世話くらいできないとアカン。「生活」というものは男女問わずテメーでできて、かつ人のためにも手を差し伸べられるくらいのスキルが大事なのだ。そろそろ「女=ケア要員」という認識は捨てなきゃいけない。社会も、そして私たち女性自身も。モテや愛されという綿菓子にくるんで継承してる場合じゃないのである。

 

 

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(おたよりは掲載する場合もありますのでペンネームを添えて下さいね)

 


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この記事を書いたライター

広告会社コピーライターからなぜかダンサーに転身、その後IT企業でライター&クリエイティブディレクターとして勤務。共同購入「ギャザリング」やブランド買い取り「ブランディア」の名づけ親。2000年から「広野ゆうな」のペンネームでメルマガやブログを書き続け、ごく一部でコアな人気を博す。現在はフリーでライティング、ネーミング、コピー、コラム、振付など手がける。Blog: 「フーテンひぐらし」 Twitter: @HironoYuna
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