キャリア形成については、経営学や教育学、心理学の方面から、専門家がさまざまなことを言っていますが、〇〇学というむずかしい学問的な話ではなく、もっと身近なところから考えることも可能です。
ここでは、キルケゴール心理学(心理「学」ですみません)にもとづいて、30歳からのキャリア形成についてお話したいと思います。
「永遠」に気づくこと
30歳もすぎれば心の中に「永遠」があることに気づく人が多いでしょう、というのが今回のお話のスタート地点です。
キルケゴール心理学がいう「永遠」とは、たとえば「なぜかわからないけれど<善いこと>を想像する自分」という意味です。なぜかわからないけれど「悪いこと」を想像する、ちょっと狂気じみた自分も「永遠」ですが、ここではその話はしません。「善いこと」を想起する自分を「永遠」とします。
たとえば、30歳もすぎれば、年に2つくらいはハイブランドのものを買えるほどのお給料をもらえる会社に転職したいと思う自分がいる一方で、「お給料が安くてもいいから誰かの役に立つ仕事をしたい」と思うこともあるでしょう。わかりやすい例を挙げるなら、それまでキャバ嬢だった人が、ある日思い立って看護学校に通い、看護師の資格をとった、というような。
「生活のため」と「永遠」
その「永遠」は、じつはずっとあなたの心の中に存在していました。しかし、あなたは(というか、多くの人は)「生活のため」を思って、その永遠を見ないようにしてきました。「ボランティアでもいいから」と思った次の瞬間、「いや、それでは生活が立ち行かないし、年に1度海外旅行にも行けないし、なにより世間体が悪い」と思って、永遠をひた隠しにしてきました。
なぜかわかりませんが(科学的に立証されませんが)、30歳をすぎると、そういった「隠してあった自分の本心」が表に出てきます。35歳でまだ出てきていない人はきっと40歳になると出てきます。それでも出てこない人は50歳になると出てきます。キルケゴール心理学は「永遠」をそのように言っている節があります。
その、「これまで隠してきた本当のこと」に素直に生きること。これが30歳からのキャリア形成においてもっとも大切なことです。なぜなら「永遠」はつねに「自分(=永遠)を選べ」とあなたに迫るからであり、その永遠と自分との間で私たちは死ぬまで葛藤し続ける生き物だからです。
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