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【女子のばんそうこう】女を転ばせたいのは誰?〜宮尾作品は過去じゃない

女子のばんそうこう

 

今日も「女子ばん」がやってきましたこんにちは。

このコラムのタイトルは「転んで傷をつくった女子たちにペタリと貼るばんそうこうみたいな存在でありたい」という思いでつけているんですが、この「転ぶ」は「自分ですっ転ぶ」ももちろんあるけど、「誰かに転ばされる」というのも含まれています。

(比喩ですが)素知らぬ顔して足をサッと引っかけてくるものから、思い切り掴んで引き倒すものまで「女を転ばせる勢力」はさまざま。その数の多さはこの社会を生きる女性なら感じたことがあるんじゃないでしょうか。じゃあ「転ばせる誰か」とはいったい何なのか。

 

宮尾登美子という作家をご存知でしょうか。映画「鬼龍院花子の生涯」の原作者であり、他にも「陽暉楼」「櫂」「一絃の琴」「序の舞」などの名作を生み出しています。彼女の作品はストーリーの面白さもさることながら言葉がとにかく美しく、今は失われた古い日本語が鮮やかに綴られるさまは、何度読み返しても感嘆します。

同時に彼女の作品を読む時にはしんどさもあります。それは「古い社会としきたりの中で押さえつけられてきた女性たち」がこれでもかと描かれているから。私が読んだ作品(明治〜昭和設定)では、

 

・女は男に差し出がましい口をきくな

・女が賢くなるとろくなことにならない

・早く嫁ぎ子を産み夫や婚家に尽くすべし

・女遊びは夫の甲斐性、嫉妬するは妻の恥

・女は浅はかで1人では何もできない

・女は親に従い、夫に従い、子に従え

 

というのが巷の価値観。呆れるほど女の地位が低く完全に男の付属物。恐ろしや近代日本ディストピア!読んでると「面白い」と「マジむかつく」が同時にわき上がって大変ですわ。まあ古臭い時代・地方・家訓の設定なわけだし、少し前までは「昔の女性は大変だったな〜」とどこか他人事で読んでたんですけどね。

 

でも最近つくづく思うんですよ。「いまだにこの価値観引きずってる人多くね?」「この価値観を下敷きにしたシステム、いまだ継続されてね?」と。

【女子のばんそうこう】女を転ばせたいのは誰?〜宮尾作品は過去じゃない

「普通に採点し採用すると女性が多くなってしまう」「妊娠出産があるので仕事に支障が出る」などの理由で大学入試や入社試験において女性は知らぬ間にハンデを負わされ落とされる。

 

「若い女性は知識がなく、悪用する恐れがあるので緊急避妊薬(アフターピル)の薬局販売は時期尚早」と言う日本産婦人科医会の副会長(ちなみに世界86ヶ国では薬局で買える)。

 

性犯罪被害者に対して「隙があったのでは」「自衛すべき」との声が多く上がるのに対し、加害側にはたらきかけるような施策がほとんど出ない。(最近ようやく電車内に防犯カメラをつける動きが出てきたけど)

 

厚労省は「経口中絶薬の服用には必ず配偶者の同意が必要」という見解を示していて「合意の上ではない・望まない妊娠」を女性の意思で止めることができない。いっぽう新生児を遺棄した事件においては、罪は母親のみが負わされる。

 

ネット上では「女だけの街をつくりたい」というつぶやきに対し「誰が力仕事や汚れ仕事すんの?」「男の力無しでビル建ててみろ」「チヤホヤされなくなるよ」「女だけの社会は陰湿だよ」というリプライが殺到する。ジェンダーギャップ改善を目指すフェミニストに対し「チンポを突っ込んでやれば(治る)」と言ってのけるインフルエンサーがいる。

 

こうしてピックアップしてみると何とまあ、女を見下した空気がそこかしこにあることか。

 

冒頭で問うた「転ばせる誰か」とはまさにこういう人たち、こういう空気だと私は思います。もちろんこれはごく一部の人たちでしょう。でもその一部はめちゃくちゃ根強く、特に影響力の強い人や権力を持ってる人の中にたくさんいるのが問題なんですよ。

 

昔も今も「女は男がいないと何もできない」「女だけだとロクなことにならない」にしておきたい人たちがいる。自分たちの存在意義がおびやかされると思うのか、必死に「いやあ女にはムリでしょ!」と言う。

彼らは「女の価値と人生の安寧は、すべて男が与えている」と思ってる。女の幸せも平穏も欲望も、男がいないと成り立たないのだと。だから「女が自分で決める」「男ナシがいい」という発言に慌てたり逆上したりするんです。

 

2022年を生きる我々、もはやそういう人たちに馴らされるのはごめんこうむりたい。どんなにもっともらしいプレゼンをされても「私は無力だ…」なんて納得しちゃだめだ。おかしいと思ったら「いやそうは思わん」「私は自分で決める」と言っていい。宮尾登美子作品に登場する女たちは確かにたおやかでけなげで強い。でもそんな美徳もう全然いらねーから。

テメーですっ転ぶならしかたないし、泣き笑いして立ち上がれる。でも本来ならスイスイ自由に歩ける場所で「女だから」って転ばされるのはまっぴらごめんだよね。そういう時はすかさず拳を握って立ち上がり殴り返す(概念)。そんな気概で歩きましょう。

 

 

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この記事を書いたライター

広告会社コピーライターからなぜかダンサーに転身、その後IT企業でライター&クリエイティブディレクターとして勤務。共同購入「ギャザリング」やブランド買い取り「ブランディア」の名づけ親。2000年から「広野ゆうな」のペンネームでメルマガやブログを書き続け、ごく一部でコアな人気を博す。現在はフリーでライティング、ネーミング、コピー、コラム、振付など手がける。Blog: 「フーテンひぐらし」 Twitter: @HironoYuna