

フランスに新しい大統領が誕生しました。
その名もエマニュエル・マクロン。
とうとうタメの大統領の出現で、唯一の心の支えは「プロ野球の監督は全員年上」を残すのみになりました。
高橋由伸氏が監督だということがいまだに信じられないけれど。
そんなマクロン(タメだから呼び捨て)の奥さんが24歳年上だと知った時は、心底驚きました。
もちろんペタジーニを思い出しました。
その驚愕の事実を知ったのは、マンチェスターでオスカル(また出てきた)とディナーをしている時のこと。
その日は、私の最後のマンチェスターナイトということで、出発前からチェックしていた『カレー・マイル』という通りの両側にずらりとカレー屋が並ぶ、カレー好きの日本人にはたまらないスポットに行こうと決めていました。
前日もクラブで乱痴気騒ぎをしていたので、最後の夜ぐらい一人で心穏やかに過ごそうかなと思っていたのですが「一緒にディナーをしよう」というオスカルからのメールが届きました。
私が「カレーマイルに行くんだけど、あなた、たぶんカレー好きじゃないよね?」と返信すると「いいね!カレー大好き!」と絶対にウソだろという返事がきましたが、まあいいかと一緒に行くことに。
マンチェスターで食べたものの中で一番美味しかったであろうカレーに舌鼓をうちつつ、話はフランス大統領選に。
最初は、ポピュリズムという言葉を隠れ蓑に差別を正当化する危険性など、何だか真面目な話をしていたのですが、マクロンの奥さんが24歳年上だと知ってびっくり。
もう政策とか信念とか、どうでもいいわ。
私、フランス人じゃないし。
「考えられない!私の国じゃ、もう私の年齢では女としての価値はないも同然だもの」と言うと「そっちのほうが考えられないよ。マユコは綺麗で優しくて頭が良くて、最高の女性じゃないか!」とオスカル。
その言葉、アドバルーンにして飛ばしていいですか?
てかアドバルーンって発想が年寄りだな。
ああ、フランス人と恋をするのも悪くないかなと思ったのですが、手掴みでナンを食べる私の目の前でナイフとフォークでナンを食べるオスカルを見て、やっぱり厳しいなとも思いました。
翌日、ロンドンへ向かう列車に乗る私を彼は駅まで見送りに来てくれました。
改札の前で「僕の国のやり方で挨拶をしてもいい?」と言うオスカルに私は笑顔で頷きました。
両頬にチュッチュとキスをしてから「私、クララともマルコとも普通にビズ(フランス式の挨拶)してたのに、どうしてあなたは今までしなかったの?」と言うと「マユコの国ではしないでしょ?お互いの文化は尊重しなきゃ」と優等生な答え。
ああ、アンドレ!
じゃなくて、オスカル!
もう二度と会うことはないかもしれないけれど、しばらくときめきを忘れていた私に素敵な思い出をありがとう!
そして何よりも、この連載のネタを作ってくれて、ありがとう!
メルシー・ボークー!