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2018年02月16日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第七十三回目。

西山繭子さんの人気連載コラム「それでも恋がしたいんだ!」。第七十三回目の今回は、西山さんのバレンタインの想い出をお話してくれました。

原稿を書いている今日は2月13日。翌日はバレンタインということで、私も準備に余念が・・・あるはずもなく、先日の恵方巻き同様に廃棄される量ってすごいのだろうな、などと社会派なことを考えてしまいます。

節分の日の閉店間際に立ち寄った渋谷の東急フードショーで山積みの恵方巻きを見て複雑な気分になりました。ちなみに別のスーパーで「節分の豆ってどこに置いてありますか?」と訊いたところ、若い店員の男の子が「売り切れてしまって、もうこれしかないんです」と私に落花生を差し出しました。

私はびっくり仰天だったのですが、北海道や東北では落花生をまくそうですね。40歳になって初めて知りました。まだまだ勉強が足りない社会派であります。

 

バレンタインに関しても未だに国生さゆりさんの『バレンタイン・キッス』が脳内に流れるほどなので、新しい波をキャッチできていないかもしれません。しかし、ここ最近はバレンタインの定義がより広くなっていることはわかります。

 

私が子どもだった頃は、もっともっと「女が男にチョコを!」な風潮でした。

私が初めて好きな男の子にチョコをあげたのは中学3年生の時でした。いや、正確に言うとあげようと思ったけどあげられなかったほろ苦い思い出。相手は毎朝同じ電車に乗る男の子でした。

 

一緒に新宿駅から都営新宿線に乗り、私が降りる駅の一つ手前で降りるハンサムな男の子。学ランの襟元につけている校章から学校はわかっていたけど、名前も何年生かも知らないその子に、中学3年生の私は恋をしていました。そして迎えたバレンタイン、前日に徹夜で作ったトリュフチョコは、口に入れた瞬間にまぶした大量のココアパウダーでむせ返り、噛もうにも石のように固いという出来上がりでした。

 

「よし!できた!」とそれに可愛いラッピングをして(すでにここで間違っている)、私はいつもと同じ時間に新宿駅へと向かいました。

さあ渡すぞとドキドキしながら、彼がいつも立っているホームへ階段を駆け下りると、そこには目を疑う光景が。なんと私よりも先に彼にチョコレートを渡している女子高生の姿があったのです。ああ、確かにこの子も毎朝、同じ電車に乗っている!顔を赤らめながらも嬉しそうにチョコレートを受け取る彼。二人はそのままお喋りしながら電車に乗って行きました。

 

私はというと、紙袋を片手に呆然と立ち尽くしたままその電車を見送ることしかできませんでした。お昼休み、友だちが行き場をなくした私の手作りトリュフを食べながら「繭子、あげなくて良かったよ。これ、歯折れるもん」と励ましてくれました。

 

そんなビターなバレンタインの思い出だけど、肌も心もすさんだ今になると美しいものですね。今年のバレンタインは誰にあげる予定もありません。でも今日はこれを書き終わったら銀座に行くので、世界一大好きなレダラッハのチョコレートを自分用に買いたいと思います。ハッピー・バレンタイン・トゥ・ミー!

 

Written by 西山繭子


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この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo
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