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2018年08月31日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第八十七回目。

西山繭子のそれでも恋がしたいんだ

以前こちらのコラムでも書いた一緒に野球を見に行った男友達Kと今月もたまたま給料日に飲みに行きました。本当にたまたまですよ(棒読み)。

 

その日は私が激しくラーメンを食べたかったために麻布ラーメンへGO。こちらは券売機で食券を買うスタイルです。

お金を入れたKが「はいはい、どれにする?」と私を促します。「えーっと、ビールと餃子とメンマと」迷うことなくボタンを押していく私。そしてお金が足りなくなると再びKが自分の財布からお金を投入。「ひゅー、かっこいいー!」「あはは、給料日だから」以前に引き続き、給料日最高。ラーメンを食べながら仕事の愚痴を聞いてもらいつつ、離婚してから子どもに会えないKの苦悩を適当に聞き流します。麻布ラーメン、美味しいのね。

 

私が「あーあ、誰かいないかなー。結婚したいなー」とビールジョッキを傾けると、Kが「俺でいいじゃん」と言いました。私は手にしていたジョッキを、ダンッっとテーブルに置き、まっすぐにKを見て言いました。「今、私は『麻布ラーメンでKにプロポーズされている私』というものに死にたいとさえ思った」Kは「そこまで言うなよー」とへらへら笑いました。笑った口元からは銀歯がきらり。「早くセラミックにしろ」と私に諭され「金がない」というK。そして「貯めろ」と言いつつ、ごちそうになる私。バチが当たりそうですね。

 

しかし、この「誰かいないかなー」は、やはり外に出て人と会わないといけないわけです。というわけで先日、人が多く集まるパーティーに顔を出してきました。婚活パーティーではありません。第159回芥川賞・直木賞の贈呈式であります。

 

世間の認識としても日本文学界の最高峰であろう賞。都内ホテルで行われた贈呈式もそれはそれは華やかでありました。金屏風の前で挨拶をする今回の授賞作家、高橋弘希さんと島本理生さんに拍手を送りながら、いつか私もなんて思ってみたりみなかったり。

 

選考委員の方の挨拶も終わり、ここからは楽しいご歓談。知り合いの編集者と話をしていると「すみません、お話中に。××さん、紹介していただいても良いですか?」と一人の青年がやって来ました。「こちら、作家で女優の西山繭子さんです」と編集者のこっぱずかしい紹介に彼は「ああ、そうなんですね。綺麗な方だな、どちらの業種なんだろうと思っていたんです」と爽やかな笑顔で言いました。あら、けっこういいかも。恋の予感?来て良かったわ。しかし世の中そうは問屋が卸しません。

 

談笑する私の背後から忍び寄る大きな影。その影の登場にさっと顔色を変える編集者と青年。影の主は伊集院静センセイでした。「あ、お父さん」私の言葉に青年は「え!?お父さん!?」と驚愕。「はい、この子の父親です」すかさず答えるセンセイ。彼は「ああ!すみません!娘さんとは知らずに、失礼しました!」と逃げるように去っていきました。

 

人混みの中へ消えて行く彼の背中を眺めながら、私に相手が見つからない要因が他にもあることに気づいた貴重な夜だったのでした。

 


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この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo

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