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2019年01月04日更新

演技派女優・安藤サクラを天才に昇華させたバツグンのバランス力~最強女の秘訣【夏目かをるの最強女になる!vol.37】

今回は、「一度の男女関係で恋人になる方法」についてです。ワーキングウーマン2万人以上の取材をもとに、恋愛、婚活、結婚をテーマにコラム、ルポ、小説など幅広く活動中の夏目かをるさんによる連載恋愛コラム「夏目かをるの最強女になる!」です。

第71回カンヌ国際映画祭パルム・ドール(最高賞)を受賞した「万引き家族」(是枝裕和監督)で信代役を演じた安藤サクラ。審査員のケイト・ブランシェットが絶賛したのは、尋問中に溢れ出る涙を無造作に広げた指で拭う仕草でした。

 

信代のただならぬ悲しみや怒りがひしひしと伝わり、「神のような演技」と天才女優として称され、栄光の頂点を極めた後は、朝ドラ「まんぷく」のヒロインに。

 

俳優で監督の父親、エッセイストでタレントの母親、そして映画監督の姉と芸能一家に生まれて育ったサラブレッドの安藤サクラ。でも演技派から天才と昇華された背景にあるのは、血筋だけでなく、類い稀なるバランス感覚が備わっていたからです。

 

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安藤サクラのバランス力は、今を生きるために必要不可欠なものです。

安藤サクラ

安藤サクラの父は俳優の奥田暎二。後に映画監督となって「風の外側」(2007年)で娘のサクラをヒロインに抜擢。これが安藤サクラの俳優デビュー作となります。

 

母親の安藤和津は、エッセイイストでテレビのワイドショーのコメンテーターを務め、姉の桃子は「0.5ミリ」(2014年)で妹のサクラを主演にした映画監督。姉妹の関係は幼少の頃とても濃厚だったと思われます。

 

「私は生まれたときから姉の作品で、ずっと姉妹でその関係を生きるっていうか、それ自体が2人の作品だと言っていた」(トーキョー女子映画部2014年10月16日)。

 

某女性誌で安藤家の特集を組んだ時に「サクラは家族の傑作」というタイトルがつけられたほど、芸能一家に生まれ育った安藤の活躍は目覚ましいものですが、でも俳優二世という環境のお膳立てがあっても、二世俳優が天才になる確率は低いのです。それなのに、なぜ安藤サクラは世界で認められる女優になれたのでしょう。

 

5歳の時に、父親の舞台を見てから女優を志した安藤は、小学5年生の学芸会で「夕鶴」の主役になると、父親から演技指導を受けます。父親の奥田はサクラの女優願望を察しますが、「二世俳優が生き残ったケースは、親が面倒を見ない佐藤浩市、中井貴一、緒方直人の3人だけ」と諭し、親の七光りを浴びせることがなかったため、安藤は学習院女子大学に進学すると、ワークショップに通って、演技の勉強を続けたのです。

 

「ところが、父親の奥田監督の『風の外側』の主演女優がクランクイン直前に降板したことがきっかけで、サクラに白羽の矢が当たったのです。サクラは父親で監督の奥田から怒鳴られまくりながら、必死に演じようとしたところ、一週間後にスコントと変わり、奥田から『こいつ化けやがった』と。その瞬間から憑依体質の女優が誕生したんです」(映画関係者)

その後一週間は一切奥田監督から注文はなく、撮影が終了。その後の憑依体質な演技には目を見張ります。

 

満島ひかりが主演の「愛のむきだし」(園子温監督・09年)で演じた新興宗教の幹部のコイケは、真っ白な衣装で鳥と行動を共にし、時おり狂った笑顔を見せるサイコな女。人の心を壊しながら自分も壊れていくという狂気を熱く放出し、満島ひかりを食ってしまうほどの演技力でした。

 

さらに第39回日本アカデミー賞。最優秀主演女優賞「百円の恋」(2014年・武正晴)では、身も心もぶよぶよのコンビニ店員がボクザーになるために10日間の肉体改造トレーニングを積み重ねてストイックなボディに大変身。ダメな女が、殴る相手は、本当は自分自身というシーンに、心が震えるほどの感動を覚えた人も多かったのです。

 

プライベートでは08年映画祭で知り合った俳優の柄本佑と交際、3年後に結婚。父の奥田から「交際は許すが結婚はまだ」と言われてから、柄本が発奮して俳優として売れると、結婚が認められたのです。

ところが順風満帆に見える安藤サクラに転機がやってきます。

 

「『0.5ミリ』、『ジョムニ2013』(フジテレビ)と経験し、すごく体力もついたし大きく一歩踏み出したかなと思ったんです。でもある時、急にお芝居のやり方がわからなくなって。なんていうのか、ヘンな話ですけど、キッパリと気持ちいいくらいに、あ!もうできないな。って」(キネマ旬報 2014年11月15日号)

 

これを安藤サクラは“死である”と称します。

一回死んだ安藤は、「百円の恋」のオーディションを受けて、一子という安藤サクラっぽい役を「とことんやろう、それを超えようと思った」(同)。

 

ところが「百円の恋」が完成してから、再び“死”が訪れたのです。

「百円の恋」の撮影が終わると、しばらく一子という役が身体から離れず、少し目がおかしくなった時に、しみじみと「安藤サクラ個人としては人生最大のワガママだった」と映画に身も心も捧げたことに対して、「これじゃいかんと思い心から反省し、夫に謝罪して勝手に誓約書も書いて、そして、殺したんです。これまでの安藤サクラを」(同)

 

映画「百円の恋」で全てを出し切ってから、子供を産んで家族を愛することが、やるべきだと悟って、2017年に出産。その後「万引き家族」に至るまで、常に存在感のある役で観る人を魅了してきました。

 

私は、安藤サクラが2つの死を乗り越えられたのは、彼女の意識的に行っているバランス感覚にあると思います。「日経ウーマン」のインタビューから、バランスを取ろうと努力する様が見えますね。

「私はいろんなバランスを考えていかなければダメなタイプ。もともと感覚的に生きているところがあって計算してやっていくというのが苦手なんですよ」(2018年7月号)

 

安藤サクラの「24時間女優」を敢えてストップした生き方のルーツは、「人としてどのように生きたいのか」を自問しているからでしょう。

「子供が生まれて、大人になって初めて必死に生きることができている。大変といったら大変かもしれないけど、私は、今、すごく新鮮な気持ちです。1秒1秒、生きている感覚が気持ち良いです」(Buzz Feed 2018年6月10日)

 

仕事人ではなく、人として生きる。それが天才と称されても、いつまでも謙虚で生きていける秘訣なのです。

 

(夏目かをる)


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この記事を書いたライター

ワーキングウーマン2万人以上の取材をもとに、コラム、ルポ、小説と幅広く執筆中。07年10万人に一人の難病・ギランバレー症候群を後遺症なしに完治。牡牛座、愛猫はエルメス。小説「ボディー・クラッシュ」(河出書房新社)、「季節はずれの恋」(講談社)。「同窓会恋愛」「女の33歳の壁の正体」(週刊朝日)。書籍「英語でリッチ!」(アーク出版)で第12回ライターズネットワーク受賞。 ・恋愛小説「眠れない夜」配信中 ・公式ホームページ:http://tcw.jp/moon-river/恋愛婚活結婚blog
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