大人女子のためのWebメディア
検索
2019年04月26日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百四回目。

おとなの恋愛に物申す

 

先日このGrappsでも連載されている美輪明宏さんの舞台『毛皮のマリー』を観させていただきました。

8年前に自分が舞台の仕事をしたのを最後に意識的に観劇することからも離れていたので、ずいぶんと久しぶりの舞台観賞となりました。その舞台が『毛皮のマリー』だったことは本当に幸運だと思います。

はじまりからおわりまでの2時間、美しく妖艶な世界をたっぷりと堪能させていただきました。

 

ああ、美しいって素晴らしいな。41歳にもなると美しくいるために努力することが、痛々しいことのように思われがちです。若作りしちゃって、とか。おばさんのくせに、まだ女捨ててないの?とか。しかし『毛皮のマリー』を観て、私は心に誓いましたよ。美しさのためにもっともっと努力をしようと。

 

帰り道、私は百貨店に入っているシャネルの化粧品カウンターに立ち寄りました。そこでマリーがつけていたような鮮やかな色の口紅を買いました。これまで私は、濃い色の口紅は避けていたんですよね。口唇がぼてっとしていて目鼻立ちもはっきりしている方なので、真っ赤な口紅なんてつけると化け物っぽくなっちゃう。そう信じこんでいたのですが、カウンターでお姉さんと相談をしながら鮮やかな紅色を選んでみたら、あら不思議!イケるじゃないですか!

 

気分が高揚した私はその足でセレクトショップに向かい、ワンピースまで買ってしまいました。花柄のロングワンピースなのですが、背中の部分があいているデザインだったので「41歳の私が着ても良いのだろうか」と迷っていたんですよね。しかもシルク混のため、お値段もなかなか。

 

しかしマリーに後押しされた私は無敵です。「これくださる?」とお上品にお買い上げ。ああ、幸せ。どこに着て行こうかな?そう思った時に、頭に浮かぶのはやっぱり好きな人の顔。これを着てどんなところに行くのが良いかなあ。ROUND1じゃないことは確かだけど、普通にご飯を食べるというのもなあ。そうだ!東京都美術館で始まったクリムト展に誘ってみよう!

 

善は急げとメールの下書き(いつもメールは推敲に推敲を重ねて送ります)に取りかかりました。しかし次の瞬間、その昔体験した美術館デートの苦い思い出が

 

その彼は、まったく文化の香りを感じさせない種類の人でした。今、言葉を選んで表現しましたが、わかりやすく言うとバカです。そんな彼を美術館に誘ってしまった私も悪いのですが、彼は並べられたゴッホの作品を前にして「ゴッホ、絵うまいね」と言いました。天国のゴッホもびっくりですよ。その後も、作品を鑑賞する私をじっと見つめ「そのニット着てるとおっぱいデカく見えるね」と言ってきたりで本当にカックシなのでした。

 

今回メールを送る相手は、美大出身の人なのでそんなバカみたいなことは言わないと思いますが、造詣が深いぶん蘊蓄を語られたらイラっとするなあとも思ってしまう。ああ、せっかく新しい口紅にワンピースを買って外側は美しくなれたというのに、やはり心の中まで美しくするのにはもう少し時間がかかりそうです。


【この記事も読まれています】
ブックマーク LINEで送る

Grappsにいいね!して最新の情報を受け取ろう!

この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo
アプリでGrappsが
サクサク読める♪

5000本以上の記事が読み放題♪悩める女性のバイブルGrappsを 電車の中でも移動中でも快適にチェックすることができます。