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2020年04月24日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百三十回目。

それでも恋がしたいんだ!/西山繭子

 

緊急事態宣言から2週間と少し経ちました。お一人様が骨の髄にまで染みわたっている私は、わりかし穏やかに日々を過ごしています。人に会いたい、わいわい話したい、誰かと繋がっていたい、そういった欲望は今のところ皆無です。ちょっと自分でもまずいのではと思うほど、一人の時間が楽しいです。

 

何をしているのかといえば、フランス語の勉強、世界史のおさらい、小説の執筆、筋トレ、だいたいそんなところです。一見地味ではありますが、これらは全て次の恋に向けての準備でもあります。フランス語は言わずもがな、世界史は知的な会話に向けての基盤になりますし、執筆はこれでイッパツ大きな賞をとったらモテそうですし、そして何より恋をするには筋力が大切ですからね。室内での筋トレ以外に、今は早朝と夕方にウォーキングをしています。

 

不要不急の外出を控えている中で外の空気を吸える大切な時間でありますが、ここ最近ではさらに別の楽しみを見つけました。それは、元カレの家に行ってみるというアクティビティです。少し前にウォーキングをしていたところ「あれ?そういえば、この近くにJが住んでいたよなあ」とその昔、仲良くしていたオーストラリア人を思い出しました。「この曲がり角だっけ?いや、違うなあ」とうろうろ。何度も遊びに行ったくせに、まったく覚えていないもんだなあ。ほとんど酔っ払っていたからかなあ。

 

Jとの思い出といえば、私が『ファインディング・ニモ』のことを『ファイティング・ニモ』と言っていたら「マユコ、ニモ、ソレダトタタカッチャウー。ミツケテアゲテー」と馬鹿にされたあげく、いざ観に行ったら日本人には到底わからないオーストラリアあるあるで爆笑する彼にイラついたということ。「ああ、そうだ。ここの居酒屋の奥だわ」てくてく歩いて行くと、当時はぴかぴかだったアパートが随分と老朽化していました。もちろんそこにJが住んでいるはずもなく、しばし郷愁にかられておりました。

 

あの頃の私に足りなかったのは、教養とおおらかさだったわね。帰り道、せっせと歩きながら考えました。次の恋に向けて、元カレの家に行ってこれまでの恋愛を反省してみるというのは良いかもしれない。目的地がウォーキング範囲内に点在しているというのもポイントが高い。よし、やってみよう。

 

しかし、もしこれ、家を見上げて思い出に浸っている時に元カレに会ってしまったらどうしよう。「いや、あの、これはね、違うのよ。あの、その、反省をしたくてね。これまでの恋の反省を」きっとみんな口を揃えて言うのだろうな。「こういう気持ち悪いことするところだよ」って。あちゃー。でも知ってるよ。そんなところもひっくるめて、私のこと好きだったんでしょ?ふふん。はい、西山繭子は恋にもコロナにも負けません。


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この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo
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