大人女子のためのWebメディア
検索
  • Grapps
  • 大人の恋愛
  • 西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百三十一回目。
2020年05月08日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百三十一回目。

それでも恋がしたいんだ!/西山繭子

 

おおかたの予想通り緊急事態宣言が延長になり、東京に暮らす私はもう一ヵ月家で過ごすことになりました。自粛疲れなどというものからは縁遠く、むしろ仕事が再開してからの方が心配です。こんな穏やかな毎日を過ごしている私が、目の回るような忙しさの職場で以前と同じように働けるだろうかという不安の方が大きいです。とはいえ一生この生活を送れるほどの貯金はありませんので、したたる汗をぬぐいながら固い地面にツルハシを振り下ろさねばなりません。エンヤコラ、エンヤコラ。まあ、そんな仕事じゃないけれど。

 

結婚は女の逃げ道だなんて言っていた時代もありますが、この混乱の社会でもはやそんなことは通用しません。そもそも「玉の輿にのる」なんていう選択肢は妙齢の私にはもう存在しないのです。外出自粛生活になり、爆上がってしまった食費に頭を悩ませていると、その昔口説かれていた大富豪は元気かな?などと考えてしまいます。

 

プライベートジェットで世界中を飛び回る彼は「今はモナコの別荘にいるよ」とか「イギリスの田舎にお城を買ったよ」とか「ドバイで王子と食事をしているよ」と、毎回合成写真を疑ってしまうようなメールを送ってきました。誕生日や舞台の千秋楽には必ず日比谷花壇の薔薇100本が届きました。まあ私はその時、電気もガスも止められる彼氏がいたので見向きもしなかったんですけどね。

 

人生に「たられば」などナンセンスですが、あの時に彼を選んでいたら今頃、鶏ムネ肉のレシピを検索する日々じゃなかったのかなと思います。でも、それ以上にアスワンダムあたりに沈められている可能性の方が高いんじゃないかとも思います。だってその彼、ネットで名前を検索しても何も出てこないんですよ、このご時世に。本人は投資家と言っていましたが、危険な香りがプンプンします。穏やかな日々を愛する私、自分の選択は間違っていなかったと確信しております。

 

しかしまあ、外出自粛でありますから新しい恋を見つけるのはかなり難易度が高いです。買い出し以外の外出は朝夕のウォーキングですが、マスクに加えて日焼け防止のフェイスシールドをして完全防備。不思議なもので、全てを覆っていると心の自由度が増してしまいます。数日前、友人から「夕方、赤いパーカー着て××のところで信号待ちしながら踊ってた?」とメールが来ました。「あー、たぶん私」と返信したところ「かなり危ない人になってたから気をつけた方がいいよ」とアドバイスをもらいました。

 

初夏ともいえるこの時期に、マライア・キャリーのクリスマスソングに合わせて踊っていたなんて言ったら余計に心配されそうなので「うん。気をつける」とだけ返しておきました。この曲が主題歌だったドラマ『29歳のクリスマス』から26年。「29歳で独身なんてヤバすぎ」と思っていた16歳の私は42歳で独身です。本当にごめんなさい。誰に対してだか、よくわからないけど、ごめんなさい。しかし人間、何よりも諦めない気持ちが大切。コロナで生活が困窮していても、まずは生きる。恋をしていなくても、まずは生きる。諦めません、勝つまでは!


【この記事も読まれています】
ブックマーク LINEで送る

この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo
  • Grapps
  • 大人の恋愛
  • 西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百三十一回目。
アプリでGrappsが
サクサク読める♪

5000本以上の記事が読み放題♪悩める女性のバイブルGrappsを 電車の中でも移動中でも快適にチェックすることができます。