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2020年07月31日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百三十七回目。

それでも恋がしたいんだ!/西山繭子

 

とうとうパスポートを10年有効なものに変えました。これは私にとって重大な出来事です。これまで「いつ姓が変わっても良いように」という理由で5年有効のものを申請してきました。しかし結局、私の姓が変わることはなく、手元には『VOID』の穴が押された紺色のパスポートが5冊。これをもし10年有効の方で申請していたら発給手数料を23000円をセーブできました。それを軍資金に新しいワンピースを買って婚活パーティーにでも行った方が良かったのではないかとさえ思います。

 

今回も当初は5年で申請しようと思っていましたが、念のためまわりに助言を求めると全員が口を揃えて「10年でいいじゃん」と言いました。既婚者が言うならまだしも、独身の友人までもがそう言ったことに、繭子びっくり。「結婚したらまた変えなきゃいけないんだよ。面倒くさいじゃん」「結婚できるかもと信じて5年に1回絶望する方が面倒くさいじゃん」うーん。そうとも言える。

 

しかし、5年パスポートにする大きな理由はこれ以外にもあるのです。それは同じ写真を10年も使いたくないということ。これまでのパスポートの写真を横に並べてみると、ホモ・サピエンスの進化を思います。いや、進化でなく退化か。うつりゆく時間をひしひしと感じるのですが、その後半の追い込みが半端ない。ディープインパクトかってぐらいの追い込みです。これが10年毎の写真だとしたら、考えただけで恐ろしい。シャルル・ド・ゴール空港の入国審査で「マダム、オイコミ、シルヴプレ」なんて言われた日には泣いてしまう。意味がわからなくても泣いてしまう。そのことを話しても、友人たちはピンとこない様子で「パスポートの写真なんてどうでもいいじゃん」と笑います。うーん。私はやだなあ。

 

そして最終的に「私、赤より紺が好きだから、やっぱり5年にするわ」と一人頷きました。しかし、そこまでの思いがあったにも関わらず何故10年に切り替えたのかと言いますと、戸籍謄本をとるのに手こずったからです。昔の運転免許証を引っ張り出し、暮らした記憶など一切ない本籍地、そして筆頭者に父親の名前を申請書に書きました。出張所で対応してくれたのは若くて誠実そうな青年。しばらく待っていると、彼が「あの、この筆頭者の方のところにはご本人さまの名前がありません」と困った様子で戻って来ました。あれ?父としばらく会わない間に戸籍抜かれちゃったのかしらん?などと考えている私に、彼が突然「ご結婚とかされてます?」と尋ねてきました。「いや、してませんけど、します?」と喉まで出かかりましたが普通に「してません」と答える私。そして「うちの親、離婚してるから母親が筆頭者なのかな」と続けると、彼は「あ、そうですか!ではお母さまのお名前を」とふむふむ頷きました。

 

結局、筆頭者は母親ということで無事に戸籍謄本が取れたのですが、若い青年に42歳で独身かよと思われたあげく両親の離婚という家庭の事情まで知られて、もう戸籍謄本にはこりごりよというわけです。しかし前向きに見るとパスポートを5年から10年にしたことで「流れが変わる」という考え方も。「せっかく10年にしたのに、結婚して名前が変わっちゃったから、また更新に行かなくちゃ。あー、めんどくさい」とドヤ顔で言える日がやってくるかもしれません。その時は、出張所で対応してくれた青年にも報告に行こう。


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この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo
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