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2021年02月26日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百五十二回目。

それでも恋がしたいんだ!/西山繭子

 

相変わらず朝4時に起きて筋トレとウォーキングに励んでいる私ですが、ここ最近は身体が重くてしかたがない。ジャージですらウエストがきつく感じます。当然のことながら体重は許容範囲を1kgほどオーバー。ああ、これも全て名古屋のせい。美味しいものがたくさんある名古屋のせい。ドラマの撮影で10日間ほどしか行っていないのに、東京を離れるといい旅夢気分になってしまうのが私の悪いクセであります。

 

こう書くと名古屋メシを堪能したと思われそうですが、東京同様、名古屋も緊急事態宣言下でしたし、そもそも撮影があるので外食をしている時間はありません。ただ、朝だけは!そう、朝だけは時間があったのです。ドラマの撮影といえば朝早いのが当たり前なのですが、今回の私のスケジュールは神のごとく朗らか。ホテルの朝食ビュッフェを堪能できる日が何度もありました。私はホテルの朝食ビュッフェが大好きです。宿泊していなくても都内のホテルに食べに足を運ぶほどなので、その手腕もプロ級です。そう、朝食ビュッフェを完璧に楽しむためには手腕が大切なのです。

 

まずは何があるのか全体を見ることから始めます。この時にはまだお皿を持ってはいけません。ぐるりと1周。目星をつけたら、さらにもう1周して置いてあるお皿の種類(大きいとか小さいとか深いとか浅いとか)を確認しながら、どう盛るかをイメージします。この「作戦を練る」というのがビュッフェでは非常に大切なのです。胃袋は1つ。そして皿に盛ったものを残すなどもってのほか。今回も考え無しに目の前のカリカリベーコンを何枚もお皿にのせているおじさんを見かけて「待って!よく考えて!」とトングを取り上げそうになりました。

 

ああ、これだからビュッフェに慣れていない人は…と、ふとまわりを見渡せば、コロナ禍もあって宿泊客の多くはビジネスマン。ビュッフェどころか普段から朝食を食べ慣れていないであろうことは皿の上を見れば一目瞭然。ハッシュポテトをしこたまお皿にのせている人、全種類のパンを山積みにしている人、カレーを大盛でボウルによそっている人。もう!みんな今すぐ私のレクチャーを受けて!お礼はいいから!いや、独身の人だけ夕飯1回!しかし、そんな私の心の叫びが伝わるはずもなく、彼らの皿は無秩序に満たされていきます。朝食を愛する私からすると、もっと大切にして欲しいと思うのです。

 

しかしそれが原因で、その昔、サイパンのホテルでプチトマトを何個も皿にのせて戻ってきた彼氏に対して「絶対にそんなにいらないでしょ?もっと考えなよ」と言って喧嘩になったことがあります。特別な人としか一緒にとることができない朝食というイベントは幸せの象徴である一方、さまざまな違いを乗り越え、認め合ってきたからこそ成立するものなのかもしれません。

 

私が、完璧に盛りつけた朝食を前ににんまりしていると、少し離れた席にお年を召したご夫婦が座っていました。おばあさんが立ち上がると、おじいさんが「コーヒー」とひとこと言いました。「ミルクとお砂糖は?」の声に、おじいさんはおばあさんの顔も見ずにぶんぶんと手をふりました。「はいはい」そう言ってドリンクコーナーへと向かったおばあさんの後ろ姿を見ながら、私だったら戻ってきて頭からコーヒーかけちゃうなあと思いました。乗り越え、認め合う。大変だなあ。こんな私が、誰かと幸せな朝食をとれる日は果たしてやってくるのでしょうか。


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この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo
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