“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお悩みの中からひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えしていきます。
<目次>
「にょんさん36歳」のお悩み
職場の年下男性と不倫関係になり約1年になります。その人のことを本当に好きになってしまい、夫との生活が耐えられなくなり、子供がいるのですが離婚しました。
彼も離婚すると言ってくれています。
ですが、彼の「離婚する」という言葉を信じきれない自分がいます。
たとえ彼が離婚しなくても、自分が離婚するという結果は変わらなかったので、子供には不自由をかけているのはわかっているのですが、自分の離婚には後悔していません。
信じたい気持ちと、離婚しないんだろうな…と思う気持ちの間でとても苦しいです。
そのせいで気持ちが不安定になってしまうこともたびたび…
信じる、信じないどちらにしても気持ちを安定させて過ごしたいです。
どうしたら少しでも安定したメンタルで過ごせますか?
〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜
にょんさんの離婚は、にょんさんが相談メールに書いているとおり、彼がいてもいなくてもにょんさんは離婚という選択をしているとぼくも思います。
でですね、傷口に塩を塗るようで申し訳ないのですが(本当に申し訳なく思っていますが)、彼はきっと離婚しないでしょうね。
彼が離婚しない理由
にょんさんのことを、彼が遊びだと思っているから離婚しないのではありません。
彼はにょんさんのことが好きだし、できれば離婚してにょんさんと一緒になりたいと思っています。
でも彼はきっと離婚しないでしょう。
なぜか?
男って、意思決定しなくてはならないときに限って、なぜか優柔不断になってしまうからです。これは「なぜか」としか言えないけれど、でもそうなってしまうのです。
だから彼は離婚しないでしょう。
心が苦しい理由
と、ぼくが言い切ったら、少しは気持ちが晴れましたか? 不安定な気持ちが安定に向かい出しましたか?
不安定なメンタルは「あれかこれか」と思い迷うところから生まれます。キルケゴールというデンマークの哲学者が『あれか,これか』という本を書いたらしいですが、まさしくあれかこれかと思い悩むから、メンタルが不安定になります。
安定した毎日を送るために
ということは、安定したメンタルで毎日を過ごそうと思えば、思い悩むことをやめればいいと言えます。
がしかし、これまたキルケゴールの見立てによると、わたしたち人間は、思い悩む自分を、もうひとりの自分が見るから、さらに思い悩むことになるのです。
「わたしはこんなふうに思い悩んでいる」というのを、もうひとりの自分が見て「彼の離婚のことで思い悩むわたしってイヤだわあ、もっと心穏やかに暮らしたいわあ」と思ってしまうんですね。
この「もうひとりの自分」って、死ぬまでつきまといます。人は自分のことを客観的に見たり感じたりする能力をもって生まれてきてしまっているので(そのていどの能力しかもっていないので)、死ぬまで思い悩みは続きます。
さて、どうしたものか?
「今」か「過去」か
思い悩む人は過去に生きているというのも、キルケゴールの見立てです。
たとえば、「昨日、彼はわたしに、離婚しないと言った」ということに悩むというのは、昨日起こったことに対して思い悩んでいるということ、すなわち過去に生きているのです。
ということは、「今」を生きると、思い悩むことから解放されるということです。
今という時は「イマ」と言ったそばから過去になるから、言葉では言い表すことのできない時制です。
ということは、感じるしかないのが今という時です。
つまり、「感じる」をすれば、にょんさんは思い悩むことから解放されるということです。
たとえば、彼と一緒に美味しいものを食べて(頭をからっぽにしておいしいものを食べて)美味しいねと言い合うことです。
解決策になっていなくて申し訳ないのですが・・・
とはいうものの、それができてりゃあ世話はないわけで、ということですよね?
過去のことや先々の不安をさておいて「今」を感じようと言ったところで、そんなもんは標語みたいな役割しか果たさない……これが多くの人の人生に共通して言えることでしょう。
というわけで、たいていの人は、新しい彼氏をつくります。
離婚するの? しないの? という押し問答や、ひとりでやきもきすることがあったのちに、新しい彼氏をつくって先の彼のことは忘れる――こうしている女子って多くないですか?
そう! 女子にとって「今」を感じるとは、未来に向かって「動いている」愛を感じることにほかならないのです。
と、男のぼくが言うのも変ですが、でもいろんな女子を見ていたらそういうことが言えるように思います。解決策になっていなくて申し訳ないのですが……。
相手と自分の過去は変えられないというこの世の事実をゆがめて、あいまいな元気づけをしたくなくて、このようなお答えになってしまいました。
でも、にょんさんは大丈夫ですよ。不安に心を揺らしつつも、やがて落ち着くべき場所に落ち着きます。
だから、そのままでいいのだ。(ひとみしょう/作家・コラムニスト)
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