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【女子のばんそうこう】男に「キモい!」と言うこと。

 

 

「おーい、財布!」

大きめの男性のひとことで居酒屋内のお客は全員、そっちを見た。

声の主はカウンターに座っていた推定アラフォー男性。手には女ものの財布が握られている。声をかけられたのはその隣に座っていた若い女性2人組で、お会計を済ませて今しも店を出ようとしていた。それで我々は「あ、彼女たちが財布をカウンターに忘れたのだな」と理解したのだが、当の彼女たちは意外なひとことを発した。

 

「えっ、キモっ!」「ヤダこわっ」

 

そして「え、忘れも…」と言いかけた店員さんの方も見ずに慌てて店から出ていったのである。店内は全員ポカーンとした。私の横のマダムは「何あれ…!失礼すぎじゃないの!?」と早くも立腹している。しかし財布は店内に残ったままなので、果たして彼女たちはすぐに戻ってきた。そしてバツが悪そうに財布を受け取り、立腹したままのマダムに「あなたたちちゃんとあの人にお礼言ったの?」と説教された。そして財布に気づいてくれた男性の目もろくに見ずに「ありがとうございました」と言ってそそくさと店を出ていった。「やーね…信じられない礼儀知らず…」マダムの声が響く店内。

私は不思議だった。声を上げた男性はごく普通の人に見えたし、女性連れだっだ。つまり彼と2人組との間には連れの女性がいて、彼はずっとその女性と話していた。だから2人組(こちらもごく普通の20代って感じ)があそこまでキモがる理由が分からず、同じく「世の中には失礼な子たちもいるもんだな」と思っただけだった。

 

その後しばらくして店内が混んできて団体客が来たため、私と夫はカウンターに移動させられることになった。あの子たちの座っていた席だ。そして座って1分もしないうちに私は気づいてしまった。彼女たちがなぜ蛇蝎のごとくあの男性を嫌がったのかを。

その男性の見た目がどうのという話では全くない。かなりいい具合に酔っ払っている彼は、連れの女性に終始セクハラをかましまくっていたのだった。それもかなり露骨な。

 

「おい、こんな腹の肉じゃ男に抱いてもらえねーぞ大丈夫か?」「まあでもお前のおっぱいはちょっと触ると張りがあっていいな」「俺ならヤッてやってもいいけど?」上から目線で絶え間なく、大きめの声で言いつつ、彼女の胸を下から何度も触り太ももに手を伸ばしまくる。「え…キんモ…!!」はからずもあの2人組とまったく同じ言葉が私の中にわいてきて止まらない。夫の方を向いて口パクで「キ・モ・い」と伝える。

その女性と彼とは肉体関係のある仲でトーク自体がプレイのようなものなのか。ならばまだ分かる。そう思って、というかせめてそう思いたくて私は彼女のリアクションを聞いていた(というより真隣なので聞かざるを得ない)。しかし彼女はその都度やんわりと彼の手を戻しながら笑顔で「もーやめて下さいって!」「○○さんだってお腹出てるじゃないですかー」とかわしてゆく。

嫌じゃないのか嫌なのかどっち…?と気になるのだが、スタッフとの会話で2人はどちらもお店の常連らしいと知る。ならば今に始まったことじゃないのだろう。それにしても本当に彼女は本当に平気なのか。スタッフや見ず知らずの隣客の前でこんなふうに扱われることが。

 

百歩譲ってそれは2人の自由ということにしよう。だとしても、楽しくお酒を飲みに来た私の耳と目は、彼のセクハラトークと痴漢的ボディタッチのさまをシャットダウンできない。みるみるうちに酒がまずくなり、夫との会話に集中できなくなる。でも店内にもう移動できる席はない。もう出ようかな。それとも「やめろ!」と言おうかな。そう思ってきたところで彼と女性は店を出ていった。その後も不快感がおさまらず怒っている私に夫は「どうしたの、引きずるねえ」と言ったのだが「ああ、夫はあれがあんまり気にならなかったのか…」と思って軽く絶望した。

 

【女子のばんそうこう】男に「キモい!」と言うこと。画像

 

財布を拾ってもらった人を「キモい奴」扱いした。皆に分かるその事実だけなら、あの若い女子2人組はただの超絶無礼なヤツである。でも私のようにずーっと隣でセクハラを見せられていたのなら、話はそう単純ではないんじゃないか。自分に矛先が向いていなくても、合意していそうにない相手を公の場で安易に性的にイジる様子を見せられるのは、女性にとっては嫌悪感と恐怖がないまぜになったとても最悪の体験である。

 

先日、「家に来ないか」と声をかけた10代女性に「キモい」と返されたことに逆上して暴行した35男性のニュースが報じられたが、ネットでは「キモいという言い方がまずかったのだ」という意見がいくつか散見されていて仰天した。

 

男性がした行為自体は透明化&矮小化されやすく、女性がそれに抗って言った言葉、態度、そもそもの服装などはクローズアップされ批判されやすい。そんなのあまりにおかしくないだろうか。男性がどんなに危険なことや無礼なことをしても、それをしなやかに優しくかわすのが女性の生き抜く道である。そんな教訓も、そうしないと生きていけない社会も、今すぐ滅びてしまえと思う。キモいものはキモい。ヤバいものからはハッキリ抗って逃げる。女子たちはそれでいい。キモい男は女に一体何をしたのか。その重さの方をきちんと見極めろ、世間。

 

 

今日のおたより

あゆみさんはじめまして。いつもコラムが待ち遠しくて、楽しみに読んでいます。3年位前に子宮の手術で入院していた年末年始に、たまたま『あなたという1人の女子。~ひとりぼっちの夜に~』のコラムを読んで、励まされたのがきっかけで、ずっと心の支えになっています。読みながら大泣きすることも多々あります。

言葉のひとつひとつが、心に入ってきて、お会いしたこともないけど、声援を送ってもらったような気分になり、また明日から頑張ろう!って勇気がでてきます。

今夜も文章を読んで、励まされたのと同時に、御礼が言いたくなりました!いつも、言葉のばんそうこうをありがとうございます!

これからもお身体にお気をつけて、ますます女子の味方でいてくださいね。(K子♪)

 

K子さんおたより&いつも読んで頂きありがとうございます! ううう…涙を…しんどい時があったのですね。ちなみに私も子宮周りの手術したことあります…そういう時や恋愛や人生のしんどい時、誰かに肩をガシッとして欲しいなと思っていたので、いまはできるだけそういうことばを女子のみなさんに届けたいなと思って書いています。包帯みたいにガッシリしてないけど、傷口を素早くさらりと覆えるようなことばであったらいいなと願っています。なのでK子さんの言葉は本当にうれしい。これからも「マシンガンを構えて女子の味方をする女」でいたいと思います!(あゆみ)

 

「女子のばんそうこう」にお便りください!

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(おたよりは掲載する場合もありますのでペンネームを添えて下さいね)

 


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この記事を書いたライター

広告会社コピーライターからなぜかダンサーに転身、その後IT企業でライター&クリエイティブディレクターとして勤務。共同購入「ギャザリング」やブランド買い取り「ブランディア」の名づけ親。2000年から「広野ゆうな」のペンネームでメルマガやブログを書き続け、ごく一部でコアな人気を博す。現在はフリーでライティング、ネーミング、コピー、コラム、振付など手がける。Blog: 「フーテンひぐらし」 Twitter: @HironoYuna
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