“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお悩みの中からひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えしていきます。
<目次>
「CREAさん31歳」のお悩み
38歳の男性とお付き合いしています。
元々お互いに好意を持っているコトは話をしていたのですが、「付き合おう」とかのやりとりはないまま何となく交際スタートしました。
彼は自分の友達には彼女として紹介してくれて、このまま仲良く一緒にいられたら……なんて話しています。
ただ、付き合う前は何度も伝えてくれていた私への気持ちも、今はまったく言葉にはしてくれず、連絡や予定を決めるのもすべて私から……。
週末はだいたい彼の家で過ごしますが、これといって何かを一緒にするわけでもなく、ゲーム・テレビ・食事・寝るという彼の日常に私が存在しているというだけ……。
もちろん数日間一緒にいるので、身体の関係はありますが、無言で始まり、無言で終わる……。
付き合った日は定かではありませんが、今のような関係になって数ヶ月この状態が続いているので、彼にとって私は何なんだろう?と思い始めました。
素直に気持ちをぶつけてみようかとも思いましたが、短気なトコもあり……すぐに音信不通になってしまうので怖くて出来ず……。
彼にとって私は、肩書きだけの存在なのか?
だったら別れて別の道を探した方が良いのか……。
彼の本心がわからず悩んでいます。
〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜
彼の本心は「CREAさんのことが好きだ」というものであって、それ以上でもそれ以下でもないでしょう。問題は、好きとも言わず、デートの予定も決めず、連絡もしてこない彼と一緒にいて、はたしてCREAさんが楽しいのか、ということでしょう。
なぜ別れないのだろう?
一般的には、そういう男性と一緒にいてもつまらないと女性は言いますね。でもなぜかそういう彼と結婚しますね。そして当然のように「うちの旦那は家に帰ってきてもなにも喋らない。ごはんを食べても美味しいとも言わない。あ~、はやく離婚したい」と言いますね。
結婚する前からそうなることが「目に見えてわかっている」にもかかわらず、そういう彼とあろうことか結婚して、離婚を秒読みする女性の気持ちが、ぼくにはまったく理解できないのです。
唯一わかるのは、今のCREAさんの状態が、すべてのことの起こり(はじまり)なんだろうなあということだけです。
もちろん、そういう彼と「できちゃった」から結婚した(結婚せざるをえなかった)という女性もいると思うんです。それはそれで、しかたないというか、まあいいというか、カップルそれぞれに判断のしようというものがあると思うんですよ。
でもCREAさんは、いま、彼と別れようと思えば別れることも十分可能で(だから相談メールを送ってくださったのだと思いますが)、なぜ別れないのか?
男性は「好き」とか「付き合おう」とかと言わない?
男性って、「好き」とか「付き合おう」などと言わない、それで「ふつう」みたいな言い方って、わりとよくされますよね。
たしかにそれでふつうかなと思います。
がしかし、そこは女性が「きちんとすべきところはきちんとする」よう仕向けないとダメなんですよね。そこで女性が口うるさくなってもいいから、彼にちゃんとけじめをつけさせることによってのみ、その後のふたりの関係はうまくいくからです。
結婚したら、ほんとにいろんなことがあります。夫婦って、この世における最小単位の集団だから、集団生活をしていたら、ホントにいろんなことが起こります。
お互いにダレてくるときだってあります。なにをやっても相手のことがウザく感じられるときだってあります。
そういうとき、けじめをつけるべきときにけじめをつけてきたカップルは、どうにか初心に戻って救われるのです。反対に、けじめがないカップルは路頭に迷うことになります。なぜなら「帰るべき場所」がないからです。
なんとなく好きで、なんとなく付き合って、なんとなくセックスしたいからなんとなくセックスした……この繰り返しで3年も5年も付き合って、どこに「帰るべき場所」があるというのでしょう?
「まあまあ」か「精神」か
今の時代、すべてにおいて「まあまあそれなりに良ければそれでOK」とか「雰囲気がまあまあ良ければそれでOK」という人が多いですね。世の中の雰囲気的にも「まあそんなもん」ですよね。
でも、その陰に確実に存在しているのが「けじめあるふるまいをしなかったことによるツケ」です。けじめみたいに、明治か昭和初期の精神論みたいなものは今の時代まったく流行らないので、そういうツケが訪れても「あの時けじめをつけなかったのが原因だ」などと、ほとんどの人は思いません。思わないはずです。
だから、40歳になっても50歳になっても60歳になっても、「なんとなく」生きている人が多いのです。なんとなくお金があって、なんとなく見栄えのする車に乗って、なんとなく美味しいものを食べれるとそれでOK……だと思いますよ。
でも、そういう生活をしている人は「毎日退屈だ」と言います。
なぜか? 精神が死んでいるからです。
人間とは精神です。なぜかわからないけど美しいものに触れてみたい、なぜかわからないけど感動すると言われている映画を観てみたい――そのような「精神」があってこそ「生きている(充実して生きている)」と、わたしたち人間は思えるのです。
その精神とは、けじめをつけるべき時にけじめをつけることから生まれます。
CREAさんはまだ31歳なのだから、今からでも遅くありません。豊かな精神の持ち主と恋してはいかがでしょうか。(ひとみしょう/作家・コラムニスト)
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