“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお悩みの中からひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えしていきます。
<目次>
「オレンジの空さん40歳」のお悩み
はじめまして。同い年の男性とダブル不倫の関係になってから1年がたちました。同じ職場の上司の立場になる男性です。
職場で楽しく話をしたり、LINEでやりとりをすると、気持ちが盛り上がるようで会いたいと言ってきます。会うとセックスをします。見つめあったり、自分はいかなくても私を気持ち良くしたいと、愛情を感じるセックスをしてくれます。セックスは精神の結びつきだと。
私の夫婦仲は良好ですが、セックスに関しては、不満ばかりです。結婚してから20年近くたちますがその間何度も、話し合ってきました。が、淡白で言葉もなく、自分本位のセックスはもうなおることはありませんでした。そのうち私も諦めてしまいました。いいパパだし仕事も家事の手伝いも、ちゃんとしてくれてます。ただ女としてはもう見てくれないのか、と。そんな時に出会ったのが彼でした。
相談にのっていただきたいことは、彼はセックスをした後の数日間は、苦しいと言います。いつかはセックスに対して飽きるだろうし、いつかは必ず離れる日がくる、人は変わっていくものだと。会う時に、家族へ嘘をつかないといけない事にも葛藤があるようです。不倫をたたく世論にも、「人が人を好きになることは仕方ないことや。なんで自分を偽らないといけないんやろう」と。
絶対に家族を巻き込んだらあかんなとも言います。そこは私も同じです。私にとっては、旦那と彼は、完全に存在意義が違っており、彼に求めるのは女としていれる時間です。彼がいるおかげでキレイになりたいと思える。仕事も頑張ろうと思える。
でも彼にとっては、私のことを考えると、矛盾した自分に苦しむようです。でも、職場で一緒に仕事をして話すと、また気持ちが盛り上がり、会いたいなとなります。
彼の心情は彼にしかわからないでしょうが、彼は私とどうしたいのでしょうか。職場が同じな為、きまずくなりたくないので、私も気持ちをなかなか聞くことができません。
〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜
彼はオレンジの空さんと不倫しつつ、同時に家庭も守っていきたいと思っています。これが「彼は私とどうしたいのでしょうか」という質問に対する答えです。
彼とオレンジの空さんのちがい
不倫している人って、多かれ少なかれ葛藤しているものですが、その葛藤の度合いがふたりでちがう、というのが、今回のご相談のポイントです。
オレンジの空さんは「私にとっては、旦那と彼は、完全に存在意義が違っており、彼に求めるのは女としていれる時間です」と言います。まあまあ割り切っていますよね。葛藤の度合いはそう高くはない。
対照的に、彼はかなり葛藤していますね。「彼はセックスをした後の数日間は、(精神的に)苦しいと言います」。「いつかはセックスに対して飽きるだろうし、いつかは必ず離れる日がくる、人は変わっていくものだと。会う時に、家族へ嘘をつかないといけない事にも葛藤があるようです」。
彼はオレンジの空さんより葛藤の度合いが高いのです。
葛藤の度合いが高い人とはどんな人?
葛藤の度合いが高い人とは「本当はこう生きたほうがいいのではないか」ということを知っている人です。
つまり彼は、「本当はこう生きたほうがいいのではないか」という「こう」を知っています。オレンジの空さんも知っているのかもしれないけれど、あなたは「本当はこう生きたほうがいいのではないか」という気持ちを強く持たなくても「ふつうに」生きていける人なのです。
なぜなら、おそらく生まれもった「生きるための地盤」みたいなものをしっかり持っている人だから。
彼はそれを持っていません。だから、理性を働かせ、感性を使い、「本当に正しい生き方」を模索しているし、模索する中で「本当のこと」を知ってしまったら、そうと知っているにもかかわらず、そう生きられない自分に葛藤するのです。
女性は「世界を開く地点」を持っている
一般的には、女性より男性のほうが葛藤の度合いが高いのではないかと、ぼくは思います。
女性って、「世界を開く地点」を持っているからです。言い方を換えると、子を産む産まないは別として、生命というものが持つ「世界」を開く能力、すなわち子を産む能力を持っているのが女性だからです。
「世界」とは、自分が認識している世界すべてのことです。男はそれを自分だけの力で開くことができない。つまり、男は子を産めない。女性に頼るしかない。ようするに男は、独力で「世界」を開けないのです。
だから葛藤するし、葛藤したらどうしても深く悩むことになってしまうのです。
女性は葛藤しても、新しい世界を自力で開くと、すなわち、別の新しい世界にひょいっと行ってしまうと、どうにかなりますね。葛藤するというのは、今のこの状態に葛藤するという意味だから、葛藤を卒業してしまおうと思えば、「別の世界」に行けばいいのだから。
男はそれができないから、女性より深く葛藤することになるし、勢い、その葛藤は長く、女性から見たら「うじうじしている感じ」に見えて、結果として「彼は私とどうしたいの?」と思ってしまう――こういうことが言えるように思います。
セックス「でも」しないと、彼的には釣り合わない
もっと単純化して言うと、3歳くらいから生涯、女性は恋を楽しむことができます。3歳くらいから死ぬまで、女性は「女」だからです。もっと極端に言うと、女性は「生まれながらにして」女なのです。
対照的に、男は、男に「なる」しかないのです。いくつもの葛藤を経て男になるしかないのです。
40歳になってもそうです。生まれながらの「女」として、恋とセックスを楽しみたいオレンジの空さんと、いまだに男になる努力をしている彼。
そりゃあ、彼はオレンジの空さんと別れたくないでしょう。だって、葛藤する「痛み」や「つらさ」を、やわらかくて温かなオレンジの空さんの体内に入ることで癒されたいと彼は考えているからです。
なにも「セックスがすべて」の関係ではないのはわかっていますが、セックス「でも」しないと、彼的には釣り合わないのです。おれはこんなに葛藤しているのだから、癒されたい――彼はこう思っています。だから、「職場で一緒に仕事をして話すと、また気持ちが盛り上がり、会いたいなとな」るのです。
(ひとみしょう/作家・コラムニスト)
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