彼のことを愛しているはずなのに、なぜかよそのカップルがうらやましく感じられる。そして、そのような自分を「こんなんではダメやわあ」と思う――そのような人は、なぜよそのカップルをうらやましく思ってしまうのでしょうか?
今回はそのことについて、一緒に考えたいと思います。
よそのカップルがうらやましいと思う理由
よそのカップルがうらやましいと思うというのは、端的に「別の自分になりたいと思っている」ということです。
今の自分にそこそこ満足しているけれど、でも、なにか機会があれば、よそのカップルみたいに「生き生きと輝いているわたし」「彼とラブラブな関係になれるわたし」になりたいと思っている――すなわち、「別の自分」になりたいと思っている。だから、よそのカップルがうらやましく思えるのです。
「別の自分」になりたい人のことを、キルケゴールは、端的に「絶望している人」と呼びます。
絶望とは、言い方を換えると、「毎日、なんとなくパッとしない」「彼氏がいるのに、なんとなく淋しい」という、あの閉塞感のことです。
では、どうすれば、わたしたちは絶望から救われるのでしょうか?
よそのカップルがうらやましいと思わない人になる方法
キルケゴールは、「過去に縛られている心を解き放ちなさい」と言います。
よそのカップルがうらやましいと思う人って、たとえば、高校のときの彼氏こそが最高の彼氏であって、今の彼氏は好きだけど、でもその彼より見劣りがする、と思っている人です。
あるいは、高校の時に最高の彼氏と出会えた自分が「最高の自分/理想の自分」であって、今の自分は「仮の自分」でしかない、と思っている人です。
いずれの場合も、高校生の頃、つまり「あの頃=過去」に気持ちが縛られているでしょ?
だから、今の彼が、じつはどんなに素晴らしく、また、どんなにあなたのことを愛してくれていても、「いまいちパッとしない」とか「もっとほかに<最高の恋愛>があるはずだ」と思ってしまうのです。その結果、漠然と、よそのカップルがうらやましいと思うのです。
心の解き放ち方はわりと簡単で、頭でなにかを考える時間を少なくして、五感でなにかを感じる時間を増やすといい――これだけのことです。
考える、というのは、つねに過去に固執していることを指すからです。
対照的に、感じるというのは、今この瞬間になにかを感じるということでしょう?
花鳥風月を愛でることを例に挙げると、今この瞬間に、目の前のこの花が光を受けてきらめいている、そのさまが美しいと、今感じるということでしょ?
ポイントは「今この瞬間」に集中すること
わたしたちが感じている「今」とか「過去」というものは、どこまでが過去でどこからが現在なのかという、明確な線引きがむずかしいですよね。
それもそのはずで、わたしたちは、竹を割ったように時間を捉えていないからです。わりとあいまいな感覚として、わたしたちは「過去の自分は嫌い」とか「今の自分はまあまあ好き」などと言うでしょう?
なので、今五感を使ってなにかを感じると、よそのカップルがうらやましいと思わなくなります、と言ったところで、そうすることとはどうすることなのか、いまいちピンとこなかったりしますよね。
でも「今」なんですよ。
今この瞬間になにかを感じること、を積み重ねる先に、よそのカップルをうらやましいと思う自分から卒業できる時が待っているのです。
それがむずかしいと思うのなら、まったく新しいことに挑戦するといいです。
たとえば、なにかの資格をとるために勉強をはじめるとか。あるいは、短大卒の人なら、通信制の四年制大学の卒業資格をめざして勉強するとか。
自分を新しい環境に投げ入れると、人は放っておいても「今」に気持ちを集中させ、その必然の結果として、過去のことなどいとも簡単に忘れるからです。(ひとみしょう/作家・コラムニスト)
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