“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお便りの中からお悩みをひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えします。
<目次>
「さなさん47歳」のお悩み
ひとみしょうさんのコラムが面白くて、私もアドバイスを頂きたくなりました!
私は47歳未婚です。今年の4月に転職し、今新しい職場で17歳年下の男性に片想い中です。どこか昭和の匂いのする彼で、しばらく彼女はいないみたいです。
久々に出会えた大好きな人で嬉しいのですが、
①歳が離れ過ぎている
②職場では普通に話すが、LINEが素っ気なく、未読スルーされる
③彼にとって、私は恋愛対象になりえるのか?
など、マイナス面もあるのが現実です。
ただ私は、彼の近くに寄っていきたくなり、彼とエッチしたい、彼と一緒だときっと楽しい!と思っていて、歳のこととか忘れてしまいます。
ロマンチストで涙もろく、自分に自信がないなど似ている面もあるのですが、やっぱり違う性格の方がうまくいくんでしょうか?
彼に好きになってもらうには、どうしたらいいでしょうか?ぜひ教えて下さい!
〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜
かの世界的指揮者のバーンスタインは「あなたが『わたしは音楽家になれますか?』と尋ねるなら答えはノーだ。なぜなら尋ねたからだ」と言います。
まるで禅問答みたいな言い方ですが、ようするに「音楽家のように『どうなるといいのかわからない職業』に就きたいのなら、とにかく『なりたい』と願うしかない。『なれる』と信じて歩くしかない」ということを端的に言っている言葉だとぼくは解釈しています。
やっぱり違う性格のほうがうまくいく?
新海誠監督の『秒速5センチメートル』という映画に出てくるふたり(タカキとアカリだったと思います)は、お互いに「似た者どうし」として描かれています。つまり、「相手は自分の生き写し」であり、「相手の中にもうひとりの自分を見たから」惹かれあった、という設定になっています。
おそらくその設定には蓋然性があるのでしょう。今でも『秒速』のファンは多いと聞きます。
新海監督の映画に限らず、有名どころだと村上春樹の小説に登場する男女も、「遠い過去に失くしたもうひとりの自分」を相手に見て、それを追い求める設定になっていたりしますね。
もっと広くいえば、あらゆる文学作品って、登場人物に「自分」を重ねることによって追体験する――このような読み方ができるし、そのような読み方を「良し」とする研究者が大勢います。
反対に、自分とはまったく違った性格の人を好きになるというのは、どういうことなのでしょうか?
これも「自分とはまったく違った性格」の相手は、じつは「過去に存在していた今はなき自分」だとぼくは解釈します。
つまり、「似た者どうし」であっても「違う性格の者どうし」であっても、結局は「もうひとりの自分」なのだと思うのです。
なので、相手を好きになったということは、「もうひとりの自分」を相手に見て、そこを好きになった、ということであって、似ているか違うかというのは、表層的な(いわば些末な)ことだとぼくは思います。
歳が離れ過ぎている?
男って、女性のことをじつは年齢で判断しないんですよ。
「え? 男子って、若い女子が好きでしょ?」と思うかもしれませんが、そうじゃないんです。
男は「自分の美意識にかなった相手」ならOKなんです。それが47歳の女性であろうと、18歳の女子であろうと、OKなんです。
18歳のピッチピチの女子であっても、自分の美意識にかなわない女子だとNGなんです。
女性も同じじゃないですか? お金持ちでイケメンで優しくても、どこかしら自分の美意識にかなわない男性であれば、「No」ですよね?
LINEが素っ気なく、未読スルーされる?
男子って、女性から来たLINEに返信をするとき、すごく自意識過剰になります。
「ぼくもあなたのことが好きです」と返信すると、相手に嫌われそうで、ためらってしまうのです。「好きだけど、まずはお茶飲み友だちから」と返信すると、彼女の「ヤリたい!好き!」という気持ちに水を差してしまうようで悪いなと思って、躊躇してしまうのです。だから、そのままずるずると時が流れてしまうのです。
なので、LINEうんぬんは、あまり気にしなくていいです。男の気持ちをLINEの返信のはやい・遅いではかるのはほぼ無理です。
彼に好きになってもらう方法
さて、彼に好きになってもらう方法についてですが、これはごくふつうに「まずはお茶でもしよう」とか「一緒に飲みに行こう」とか、ありふれた方法を使って彼とコミュニケーションをとるしかないでしょう。
職場でいきなり「飲みに行こうよ」と言える雰囲気があればラッキーですが、なくても心配ないです。なぜなら毎日顔を合わせていたら、いつか必ず誘えるチャンスが訪れるからです。
そして、たとえば飲みながら「いけそう」と思えば、告白しちゃうといいじゃないですか。
男子は女子とちがって「なにがなんでもこの人とは友だち止まり」なんて思わないから大丈夫です。女性に好きと言われたら、「彼女はおれのことが好きなんだ」と、つねに意識するようになるから大丈夫です。
つねに意識させることができれば、また、さなさんがよほど彼の美意識とかけ離れた人でなければ、付き合えるとぼくは思います。
私は恋愛対象になりえるのか?
最後に、「私は恋愛対象になりえるのか?」という質問について。
――あなたがそう尋ねるのなら付き合えないです。なぜなら尋ねたから、という、バーンスタインの答えに沿った答えを提示します。
47歳になればもうおわかりかと思いますが、未来って、自分が信じたほうにしか動かないんですよ。
と書くと、おそらくさなさんも、ほかの多くの読者も「信じても信じた方向に動かないのが私の人生なんですけど」と思うと思います。
でもそれって、信じ方が足りないんですよ。
ぼくは若年層向けの恋愛コラムをこれまで大量に書いてきましたが、若い人にきっとウケなくて、40代くらいの人に支持を得るのが、この「信じること」だと思っています。
「願う」ではなく「信じる」です。
今この瞬間にそう信じるから、未来はそうなるのだ、ということを、若い人は経験不足からまだわからないのです。だから可能性を可能性のまま投げ捨ててしまえるのです。
とにかく、今、付き合えると信じて行動することです。先のことは先になって考えるといいです。
それが人生の約半分を生きたぼくたち40代の強みではないですか?
健闘を祈ります。じゃなくて、健闘を信じます。
(ひとみしょう/作家・コラムニスト)
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