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2021年11月05日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百七十回目。

それでも恋がしたいんだ!/西山繭子

 

あっという間に11月。今年も残り2ヵ月です。昨年に引き続きコロナ禍の1年間でしたので「やり残した」ではなく「できなかった」ことばかり。

 

その最たるものは、やはり恋でありましょう。もうこのコラムを書くのに致命的。存続の危機です。だって、どこも外に遊びに行けないんですよ?仕事場と家の往復なんですよ?その道中で出逢うなんて奇跡はそうそう起きないし、マッチングアプリは事務所から禁止されているし(フラームでそんなことを訊いたのは私だけでしょう)、相席居酒屋に足を踏み入れる勇気はないしで、この1年間新しい出逢いは皆無。こうなるとどうしても心がかさついてきます。心の潤いはお肌の潤いに直結。これはまずいと最近は積極的に心を動かすようにしています。

 

その1つが、先日行った斉藤和義さんのコンサートです。20代の後半、私は斉藤和義さんに夢中でした。ツアーはもちろんのこと、フェスや地方での公演にも遠征。朝から晩までせっちゃん(斉藤さんのニックネーム)の音楽を耳に過ごしていました。もう好きすぎて「斉藤和義になりたい!」とギター教室に通い始めたほど。

 

しかし、それほど好きだったのに人の心とはわからぬもので今回は何と10年ぶりのコンサートでありました。ステージに出てきたせっちゃんは相変わらず飄々としているのに色っぽく、55歳とは思えぬ佇まい。ああ、素敵。

 

それでも以前のようには私の胸がときめかない。どうしてだろう?今年の春に出したアルバム『55STONES』の曲が演奏されるなか、私は不思議な気持ちでステージを眺めていました。あんなに好きだったのに、人の心ってここまで変わるものなのだろうか?何だか自分が薄情な人間のような気がして複雑な想いでした。しかしセットリストの7曲目、美しいピアノメロディーから始まった『彼女』をせっちゃんが歌い出した途端、もう心が一気に昔に引き戻され、気づけば号泣。もう自分でも感情をおさえれないほど号泣してしまいました。

 

ああ、幸せだった日々よ。私がせっちゃんに夢中になるきっかけは、当時付き合っていた彼氏でした。家賃38000円の古びたアパートで初めて聴いた『歌うたいのバラッド』、あの曲が恋をする乙女の心を鷲掴みにしたのは当然のことでしょう。彼はとっても貧乏で、電気、水道をとめられるのはしょっちゅう。冬の公園で歯を磨いたこともありました。それでも若い私たちにはそんなことを笑い飛ばせるエネルギーがありました。そのエネルギーの源は、やはり夢や希望だったのだと思います。こんな女優になりたい。こんな作品を創りたい。私たちには未来がありました。そんなクサいこと言って!と思う人がいるかもしれません。でも40代になって振り返った今、夢や希望がどれだけ大切だったのかがわかるのです。

 

ここ最近考えることといえば、日々の生活の不安、そのうち親がいなくなる恐怖、そしてひとりぼっちの老後。これではますます心から潤いが奪われてしまいます。このままではいけない。まだまだやりたい役がある。書きたいことがある。そしてそして恋もしたい。いや、恋をするんだ。10年ぶりに行った斉藤和義さんのコンサートは、私の心を激しく揺さぶってくれました。せっちゃん、ありがとう。偶然にも前回のコラムで書いた斎藤工さんに引き続いての斉藤さん。いやはや、私が初めて生で見た芸能人が斎藤清六さんだということを考えると、何やら縁を感じます。

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この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo
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