29歳までには結婚したいとか、30歳までには結婚したいとか、なにかと「30歳くらい」をひとつの人生の節目と感じておられる女性が多いので、今回は20代と30代で恋愛(観)のなにが変わるのかについて、みなさんと一緒に見ていきたいと思います。
誰もが抱えていた不安が消えるころ
じつは私たちの多くは、性欲に振り回されて生きています。が、そのことをおおっぴらに言う人はあまりいません。性欲という言葉じたいが嫌われている感すらあります。
だからなのか、性欲を「汚いもの」とか「悪」と思っている人は、とにかく「そういうこと」を避けるように生きます。反対に、性欲旺盛な人は、「誰にもバレないように」みずからのそれを満たす行動を積極的にとります。
そういうのが落ち着いてきた頃、つまり、自分の心に宿命的に宿る「汚いもの」と折り合いがついてきた頃、あるいは旺盛なそれがまあまあ満たされてきた頃、「では結婚をば」と思う、というのは、じつはとても現実に即した見方ではないでしょうか。
結婚前に遊びまくるのが善くないとか、そういう話ではありません。誰もが性欲という「どう向き合うといいのかよくわからないもの」と中高生くらいから、誰にも内緒で格闘しはじめ、不安や葛藤、焦り、絶望などを人知れず味わい、それらの気持ちが「ふつうの日常の気持ち」となんとなく折り合いよく同居できるようになる――これが20代と30代の分かれ目ではないかと思います。
したがって、30代でもまだ性欲が旺盛で、という人は、まだ20代を生きているのです。反対に、20代ですっかり落ち着いてしまった人は、精神的にはすでに30代の域に突入しているのです。
誰もがもつ「かくありたい」という誠実な気持ち
性欲とまあまあ折り合いがつくと、私たちは物事をより理性的に捉えるようになります。これまでは「性欲=悪」と思って感情的な判断しか下せなかったものが、「まあこういうこともあるだろう」と、「大人の対応」ができるようになります。性欲が旺盛な人も同じです。これまでイケメンを見たら1回はお世話になりたい(お世話したい)と思っていたものが、「まあ今日はなにも起きなくてもいいか」と思えるようになります。
この態度の変化が20代の恋愛と30代の恋愛のもっとも大きな違いです。
それは具体的には、たとえば、自分の人生をより冷静かつ長期的に展望できる心を生みます。それはすなわち、他者(彼氏)の心をより深く、より豊かに理解できるようになることを意味します。より深く、より豊かに、というのは、「相手の<こうありたい>と思う気持ち」を感じ取ることができる、ということです。
たとえば、自分の将来について多くを語らない彼氏が、じつは両親と仲が悪く、でも結婚したら自分は親子仲のいい家庭を築きたいと思っている、ということを、なんとなく肌で感じることができるようになります。あるいは、いつも元気な彼氏が、じつはかつて死にたいと思ったことがあり、将来は死にたいと思って悩みつつ生きている人に手助けする仕事に就きたいと思っていることを、肌で感じられるようになります。
つまり、相手が言葉にしない「本当の思い」を感じることができるようになります。これは、性欲と折り合いのついた「大人」のみが持つことのできる能力です。
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