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2022年04月08日更新

西山繭子の「それでも恋がしたいんだ!」第百八十一回目。

それでも恋がしたいんだ!/西山繭子

 

前回のコラムで『洋服買えない病』を克服したことを書きましたが、めでたしめでたしと思いきや、今度は『洋服欲しい欲しい病』を発症してしまいました。春という季節がそうさせるのでしょうか。

寒い冬には、黒やグレーばかりを着ていたので、店先に並んだ鮮やかな色を見ると心が躍ります。とはいえ、ここ最近の物価の値上がりを鑑みると、とてもじゃないけど贅沢はできません。

 

先日、スーパーで玉ねぎを買おうとしたところ何と1個149円。目ん玉が飛び出ました。それ以外にも油やティッシュといった生活必需品もここぞとばかり値上げ。それでいて給料は据え置きって恐ろしい社会です。だからこそお洒落を楽しみたい人の足は必然的に安価なファストファッションへと向けられるのでしょう。

 

本当は昨年に引き続き『ファストファッションを買わないイヤー』を継続しようかと思っていたのですが、意志薄弱な私は物欲に勝てずあっさりとユニクロへ。1年ぶりに入ったユニクロは、平日の昼だというのに大層な人出でした。商品もたくさんあって何だかよくわからないなあと店内をほっつき歩いていたところ、1枚のスウェットを発見。それは先日、事務所で会った片岡凛ちゃんが着ていたものでした。

 

彼女とはその時が初めましてだったのですが、美しい凛ちゃんを前にフラームきっての鳴かず飛ばずこと西山パイセンは気の利いたことも言えずどぎまぎ。彼女の胸元に描かれていたダリの絵を見て「おっ、ダリ」などと考えていました。そうか、ユニクロの商品だったのかあ。

 

これは片岡凛ファンとしては、お揃いで買っちゃうでしょ、といざ試着室へ。スウェットなんてなかなか買うことないし良いかもねと、うきうきと袖を通して鏡を見る西山パイセン。しかし次の瞬間、目の前に現れた具象を前に戸惑う西山パイセン。このほとばしる患者感はいったい…。しかも描かれているのがダリの絵だけに、病棟は確実に精神系という危うさ。

 

大人がスウェットを着ると「部屋着」になりがちというリスクのはるか上をいく「患者」。そうだわ。忘れていたわ。どんなに素敵なパジャマを着ても、例えそれがジェラピケのふわふわもこもこであっても、私の年齢だとそこから連想されるのは「パジャマパーティー」ではなく「入院」。

 

ああ、18歳の凛ちゃんとお揃いになれるなどと無謀なことを考えた自分をぶん殴りたい。私は静かにスウェットを戻しました。しかしこのMOMAアートアイコンズというものがあることを知ったのは大きな収穫で、私はゴッホの『星月夜』のTシャツを購入しました。MOMAに行くと必ず長時間眺めてしまう絵です。

 

以前、父が同じタイトルの小説を出した際にNYからこのポストカードを送ったところ、大層喜んでくれて、帰国後におこづかいを貰いました。とても縁起の良い絵です。なので次に父と会う時にこのTシャツを着て行ったら、またおこづかいが貰えるかもしれません。その資金を元手に洋服を買おうという算段です。あったまいいね、私。さあ、春です。お洒落をして街へ繰り出そうではありませんか。

 

(西山繭子)

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この記事を書いたライター

日本の女優、作家。東京都出身。 大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。 テレビドラマを始め、女優として活動。 最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。 著書に 『バンクーバーの朝日』 『色鉛筆専門店』 『しょーとほーぷ』 『ワクちん』 などがある。 オフィシャルサイト→FLaMme official websiteオフィシャルブログ→ameblo
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