ファンデーション。それは愛同様、世の女性たちが永遠に探し求めるものの一つでありましょう。使っているファンデーションがなくなりそうになると「今のも良いのだけど、もっと良いものはないだろうか」とネットでランキングを調べます。そして調べれば調べるほどたくさんありすぎてわけがわからなくなり、結局また同じものを購入する、そんな流れが多いです。
私が初めてファンデーションを買ったのは18歳の時でした。当時、人気だったマリー・クワントのカウンターでBAさんに色々と教えてもらいながら下地、リキッドファンデーション、お粉を一式揃えました。魚屋でせっせとアルバイトして貯めたお金が一気に吹き飛び「大人の女の人って大変なんだなあ」と思ったことを憶えています。
それから今日に至るまで、どれほどのメーカーのファンデーションを使ったことか。「これぐらい明るいお色の方が」と勧められたものでバカ殿になったり、フランスの女優御用達という謳い文句に使ってみれば、質感があまりにもマットでマジパンみたいになったりと紆余曲折の道のり。ここしばらくは、ゲランのレソンシエルに落ち着いているのですが、それでも新商品が出ると気になってしまいます。
しかし、コロナ禍になってからというもの、お化粧をする機会がぐっと減ったので、これまでもなかなか減らなかった化粧品がさらに減らない!一応、推奨されている使用期限はあるようですが、世の中のほとんどの女性のポーチには数年選手の化粧品が潜んでいるはず。
ちなみに昨日私が使ったアイシャドウは15年選手です。たぶん使っても使っても減らない魔法のアイシャドウなのだと思います。そんな風に使いきれないくせに、百貨店などで美しい春色の新作などを見ると胸がときめいてしまう。ああ、世の女性を悩ます化粧というのは本当に困ったものですね。
なんて思っていたら、本屋さんで『世界一簡単なメンズメイクの教科書』なるものを発見。昭和生まれの私からすると、化粧をしても良い男性というのは忌野清志郎さんと志茂田景樹さんの二択なのですが、時代は令和です。そんなことを言っていたら、ジェンダーがっ!多様性がっ!この老害がっ!となってしまいます。時代においていかれぬよう、何事もまずは知ることが大切とパラパラとページをめくりました。
まずは『眉メイク』。眉毛を整えるというのは、これはもう王道でありましょう。夏の甲子園、高校球児たちの唯一のお洒落どころである整えまくった細眉を見るたびに「青春!」と思います。ただ個人的には細眉は苦手です。そうかといって村山富市さんのように野性的なのもなあ。何事もほどほどが良いということですね。
その次は『肌メイク』。私たちが使っているように下地から始まり、BBクリーム、ファンデーション、コンシーラーの使い方をレクチャーしています。ここでのポイントは男性ならではの青ヒゲの隠し方。私の知人も「なかなか結婚できない」と言って、ヒゲの永久脱毛をしていたもんなあ。私は心の中でヒゲのせいじゃないよと思っていたけれど、本人からすると大きな悩みだったのでしょう。ちなみに彼は今も独身。
そしてさらにページをめくると応用編として本格的なメイクやり方が載っていました。アイラインをしっかりひいてオレンジ色のアイメイクを施し、赤いティントで唇を輝かした男の子。私の正直な感想としては「なんじゃ、こりゃ」なのですが、多様性の時代ですからね。否定はしません。でも好みではない。だって自分よりメイクが上手な彼氏なんて、ちょっとイヤですよねえ。
(西山繭子)
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