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2019年10月11日更新

淋しくて彼に依存してしまいそうな自分の弱さが怖いです。どうすればいいのでしょうか?【ひとみしょうのお悩み解決】

「言い寄ってくる男性」の言動と行動がかみ合わなくて戸惑っています【ひとみしょうのお悩み解決】

“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「まりりんさん 50歳」のお悩み〜

淋しくて彼に依存してしまいそうな自分の弱さが怖い

ひとみさんのコラムにほぼ依存している50歳の会社員です。来春、娘の大学卒業を機に離婚することが決まっています。

 

私には1年半前から15歳下の既婚の彼がいます。彼は自営業で仕事も順調、小学生の子供もいて、家庭も円満です。10代から付き合って結婚した奥さんの話も私によくします。

 

彼は、ひとみさんのいう「うまく生きる」典型的なタイプ。一方の私は、不器用で、彼を想う気持ちが強すぎて、恋愛観が噛み合わず1回は別れたのですが、結局はまた戻ってしまいました。

 

女性として一通りの経験をさせてもらい、趣味や友達も多く幸せな人生を送ってきましたが、まさかこの歳でこんなに苦しくて切ない恋愛にハマるとは思いませんでした。

 

もちろん彼との未来など夢みていないし、母親を幼い頃に失くし苦労して育った彼には家族を大切にして、幸せな人生をずっと送ってほしいと本気で思っています。

 

納得した上での離婚ですが(彼が原因ではないです)、娘も独り立ちしていくこれから、私は淋しさで彼に依存してしまいそうな自分の弱さが怖いです。

これからの私の生き方、彼との向き合い方に少しでいいので ヒントをいただけませんか。

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

キルケゴールという哲学者は、淋しさゆえに何らかに依存してしまいそうな心の状態を、絶望と名付けました。そして彼は、まりりんさんが言うような(相談文の下から2行目の)意味における「弱さ」という言葉をもちいて、絶望には、弱さをめぐる絶望と、男らしさの絶望の2つがあると言いました。

弱さをめぐる絶望について

弱さをめぐる絶望

弱さをめぐる絶望は、隠そうとする気持ちから生まれるとキルケゴールは指摘します。

 

たとえば、自分は本当はこう生きたほうがいいとわかっているにもかかわらず、その気持ちを隠している(さらに、その隠しているという事実を、世間に対して隠している)から、人は淋しさを抱くのだと、キルケゴールは言います。

 

つまり、わたしたちは、(おそらくは40歳も過ぎれば)本当は自分はこんなふうに生きていくべきなのだろうという、いわば「理想的な自分のあり方」を直感しますよね?

 

対して、現実の自分は……理想的な自分のあり方とはほど遠かったりしますよね?理想的な自分にどう近づけばいいのか、その方法がわからないという理由も含め、なんらかの理由で理想的な生き方にならない、そういう困難さや葛藤を、誰の人生も含み持っていますよね。

 

理想的な人生と、そう生きていない自分とが、心の中で葛藤する、その葛藤をもうひとりの自分が見て葛藤するが、それを誰にも言えない――これが淋しさ(弱さの絶望)の素(もと)だと、キルケゴールは言います。

男らしさの絶望

弱さをめぐる絶望

他方、キルケゴールが「男らしさの絶望」と名付けているものは、簡単にいうと反抗です。

 

趣味とか恋愛、旅行、買い物など、この世的な楽しさだけを享受して生きるのって、なんか違うなと思ったとき(50歳になればこう思う人が急激に増えるとぼくは思います)、自分はこうありたいという、いわば理想的な自分のあり方が心をよぎりますね。ここまでは上に書いた「弱さをめぐる絶望」と同じです。

 

心に浮かぶ「理想的なあり方の自分」に無理に無理に突っ走ること、つまり、誰もがもっている「自分の人生を規定しているなにか(経済的な条件とか、もって生まれた能力の限界など)を無視して理想的な自分に突っ走ること」を、キルケゴールは「男らしさの絶望(男らしい淋しさ)」と、なぜか「男」という言葉を使って定義しています。

漠然とした淋しさを消す方法 その1「使命を知りそれに忠実に生きる」

弱さをめぐる絶望

さて、そのような絶望(漠然とした淋しさ)を、キルケゴールは、どうすれば消し去ることができると言っているのか? 答えはいくつかあるので、順番にご紹介しましょう。

 

1つは、「神意」に忠実に生きることで消えると彼は言っています。キルケゴールは敬虔なクリスチャンだから、彼が言う神意とはイエスの教えです。

 

がしかし、広く解釈するなら、「自分がもって生まれた使命感のようなもの」です。

ほら、法要のときなどに、お坊さんが「人は誰しも使命をもって生まれます。この世において使命をまっとうしたら天に召されます」と言う、その使命のことです。

 

こういった恋愛コラムに、神意とか使命とかと書いても、およそ誰も興味を示さないのでは?と思い、これまでぼくは神意とか使命という言葉を使って説明してこなかったのですが、50歳くらいになるとこういった言葉がすっと入っていくかもしれないと思い、はじめてコラムで神意に触れました。

 

これが、キルケゴールが究極的に言いたかった「淋しさ解消法」です。神意を知り、神意に忠実に生きなさい、と。

漠然とした淋しさを消す方法 その2「隠さない」

漠然とした淋しさを消す方法

相談メールの「自分の弱さが怖いです」に呼応する解決法を述べるなら、隠すことを止めると、自然と漠然とした淋しさは消えます、ということが言えるかと思います。

 

先に見たように、キルケゴールが言うところの「弱さの絶望」の原因は隠すことなんですね。

 

たとえば、漠然とした淋しさを持っている自分を世間に対して隠そうとするから、よけいに漠然と淋しくなる。あるいは、これもあくまでも例えばですが、本当は彼を独占したいくらい彼のことが好きなのに、その気持ちを彼に対してのみならず、自分に対しても隠しているから、なぜか漠然と淋しい。

 

隠すのは、自尊心ゆえだとキルケゴールは言います。自尊心とうまく付き合いつつ、隠さない体質を目指してみてはいかがでしょうか。

漠然とした淋しさを消す方法 その3「過去をほどよく忘れる」

漠然とした淋しさを消す方法3

3つ目は、過去のことを考えすぎない、というものです。

 

キルケゴール哲学の解釈として、ほぼ一般的ではない解釈があり(ぼくの勝手な解釈です)、それは、キルケゴールは、ある日、ある瞬間に、なぜか、自分の過去・現在・未来をいっぺんに見通すことができ、その瞬間、幼少期から悩まされ続けた弱さの絶望から救われた(ような気がした)、というものです。

 

なぜ「ある日、ある瞬間になぜか」なのか? 父親の死や、恋人との「痛い」関係などの経験が、キルケゴールの知らないところで、彼に「こうやって生きていくといいのだ」と思わせるような自信を育てていたのだろうと思います(ぼくは目下、これを論証しようと悪戦苦闘していますが、自信とは感覚であり、感覚は私秘的なので、たぶん論証できないと思う)。

 

ようするに、さまざまな経験が、まりりんさんに、「こうやって生きていくといいのだ」と思わせてくれるように仕向けてくれるでしょう、ということです。

 

そのような瞬間に出会おうと思えば、過去に気持ちが捕らわれていては無理です。今という時制がもつ「今性(動性のようなもの)」を感覚でしっかり捉えるクセをつけておかないと、きっと無理です。自分の過去・現在・未来をいっぺんに見通すことができる瞬間とは、たえず動いている「今」という時制においてのみ起こるからです。

 

済んだことは済んだこととして、「今」を感じること、具体的には、たとえば花鳥風月を愛でること――これが大切になってくるのではないかと思います。

おわりに

四十にして惑わずという、今から2000年以上前の孔子の言葉は、五十にして天命を知る、と続くそうです。50歳にして天命を知るとは、自分の生涯における使命を見極めるという意味だそうです。

 

わたしたちの多くは、ふだん、神様の存在を信じたり信じなかったりしながら生きていますが、50歳になれば、天(神的な存在)と、気づけば自然な感じで対話している自分に驚く人もいるでしょう。

 

恋愛とか、子どもの成長に対する悦びなど、この世的な楽しみを超えたところに、もしかすれば、漠然とした淋しさや自分の弱さを乗り越えられるヒントがあるのではないでしょうか、という、とてもオトナなお話をしました。

 

ぼくのホンネをいえば、まりりんさんやぼくのような「不器用な」生き方しかできない人とは、じつはずっと若い頃から、心のどこかで神的なものと対話しているから不器用にしか生きられないのだと、ぼくはひそかに考えています。

まりりんさんの参考になれば幸いです。

(ひとみしょう/作家)

参考 『死に至る病』セーレン・キルケゴール著(鈴木祐丞訳)講談社(2017年)

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この記事を書いたライター

〜文筆家〜webに恋愛コラムを6000記事以上(ギネス級!)寄稿したweb恋愛コラムの第一人者。獲得PVもたぶんギネス級。コラムの受賞歴多数(小学館『Menjoy!』編集部より)。著書数冊(すべて電子書籍)。 FB Twitter

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