
セックス・妊娠・出産に関する医学的に正しい情報を学校や日常生活で学ぶ機会は意外と少ないです。性行為から妊娠、出産に至るまでの“知っているようで知らない”正しい知識を、悩める女性へ向けて産婦人科医であり性科学者である宋 美玄(そん みひょん)先生が、優しく解説します。
流産してしまう赤ちゃんは、初めから運命で決まっている?
どうすれば流産をしないですむのでしょうか。残念ながら、初期流産のほとんどは受精の時に染色体の本数が間違えていたなど、妊娠が成立した時点ですでに流産となることが運命づけられているのです。
だから、仕事を休んで家でじっとしていても、ストレスから完全に解放されても、流産してしまう時はしてしまうのです。あなたにできることは赤ちゃんを信じてあげることだけ。逆に、育ってくれる赤ちゃんなら、特別なことをしなくてもちゃんと育ってくれます。
普通に家事や仕事をしても、旅行に行っても、船に乗っても、飛行機に乗っても、それが原因で流産することはまずありません。でも、そう思っていても実際に流産してしまったら「あの時の〇〇がいけなかったんじゃないのか」などと思ってしまうもの。
たとえ運悪く悪い結果となっても、自分が納得できるように行動しましょう。もちろん、激しい運動はいけませんし、栄養は摂らなくてはなりません。無理は禁物です。
繰り返すことはないの?
一度流産をしたことがある人は、次の妊娠の時にとても神経質になってしまうものです。妊娠初期には、たとえ赤ちゃんが正常に発育していても、少量の出血があったり何となくお腹が痛くなったりすることがあります。
でも、そういった症状があっても赤ちゃんが育ってくれる時は育ってくれるし、出血も腹痛も何もなくても赤ちゃんの発育が止まってお腹の中で死んでしまっていることもあります。だから、そういった症状はあまり気にしても仕方ないのですが、「これはおかしいな」と思ったらかかりつけの病院に連絡しましょう。
一度流産したことがあっても、次の妊娠で流産する確率は他の妊婦さんと同じです。医学的には三回連続で流産すると、病気として原因を調べることになります。ドクターによっては二回連続で流産した時点で原因を調べる人もいます。
わかっていても流産は悲しい
いくら「初期の流産は多いから、まだ喜んじゃいけない」と覚悟していても、現実に流産してしまったらやはりとても悲しいものです。当然ですよね、自分のお腹の中にいた赤ちゃんがいなくなってしまったのですから。
そんな時は思う存分泣いてください。でも、一つだけ喜んでください。ちゃんと妊娠できる体であることがわかったのです。立ち直ったら前を向いて次の妊娠のことを考えましょう。
流産の後の子宮は、妊娠性の組織が残されていて、次の妊娠にとって必ずしも良い環境ではありません。何度か月経が来て、子宮の中の環境が元に戻ってから子作りを再開してください。
参考文献:宋 美玄「学校では教えてくれないセックス・妊娠・出産の話 女医が教える 後悔しないために知っておきたい11の事」