家族間の問題や介護は、本来ひとりで抱え込むものではありません。
しかし、立場や慣習を理由に、特定の人へ負担が偏ってしまう場面も少なくないようです。
とくに身内同士のことになると断りにくく、気づかないうちに役割が固定されてしまうこともあります。
無理を重ねるほど心身の余裕が失われ、日常生活にも影響が出てくるのではないでしょうか。
今回は、家族の問題や介護を一方的に任され、悩み続けた女性の体験談を紹介します。
介護が必要な義父を放置して…夫と義妹は旅行中

夫と義妹の旅行中、私は何度も夫に電話をかけていました。
「うわ。妻からだ」
しかし、夫は面倒だと画面を眺めるだけです。
隣に座る義妹は、笑いながら言いました。
「無視無視。どうせまた文句でしょ?お兄ちゃん大変だね〜」
2人はそのまま電話を無視して旅行を楽しみました。
私が電話で話したかった内容が自分たちにとってどれだけ重要なのか、彼らは知る由もなかったのです。
夫と義妹が旅行から帰ると…

私は自宅で、何度かけても繋がらない電話を前に、静かに息をついていました。
「やっぱり出ないか」
短くそう呟き、スマホを置きます。
「仕方ない…」
私は彼らに何も知らせずに「計画」を進めるしかありませんでした。
旅行を終えた夫と義妹は、上機嫌で義実家へと戻ってきました。
「旅行楽しかったな」
「次はもっと長い旅行にしようね!」
「そうだな!」
しかし、突然夫の足が止まります。
「…え?」
「どうしたの?」
固まる夫と義妹

「これ…」
「え…?」
夫が震える手で指さした光景に、義妹も言葉を失いました。
義実家がない!?

2人が目にしたのは、義実家があったはずの場所に広がる整地された土地。
そして、そこにぽつんと立てられた「売地」の看板でした。
「家が売られてる…?」
「うそ…なんで?」
呆然と立ち尽くす2人の背後から、私は静かに声をかけました。
「2人ともおかえりなさい」
妻に激高する夫

夫は私に気づくと、すぐさま詰め寄りました。
「あ!これどういうことだよ!?」
「お義父さんが施設に入ったから、もうここはいらないの」
「な、なんで俺たちに相談しないんだよ!?」
「だってお義父さんが決めたことだからね」
義父は自ら施設への入居を選び、自分の意思で家を手放したのです。
私はそれを淡々と伝えました。
すると、義妹が叫びます。
「今売ったら私たちにお金が入ってこないじゃない!」
義妹は遺産への執着を隠す気もないようでした。
「直接確認する!」納得できない夫が義父に電話

夫たち兄妹は、突然のことに動揺して言い争いをしています。
夫は混乱しながら、義父へ直接電話をかけました。
「父さん!家を売ったって本当か!?」
「ああ」
「俺の家だぞ?俺が決めて当然だろう!」

「なんでだよ!?」
「もうその家は必要ないからな」
「だからって勝手に決めるなよ!」
「俺の家だぞ?俺が決めて当然だろう」
最後に、義父は静かに告げました。
「もう話すことはない」
ブツッ、と通話が切れました。
スマホからはツーツーと、無機質な音だけが聞こえます。
「…切られた」
義妹が兄の顔を覗き込みましたが、夫はただ呆然と立ち尽くすだけでした。
義父は、自分の介護や家のことをすべて私に押しつける兄妹に家や遺産を渡すつもりはありませんでした。
夫たちは、住む家と目当てにしていたお金、すべてを失った現実を、ようやく目の当たりにしたのです。
最後に
まずは、引き受けられる範囲と難しい範囲を整理し、曖昧なままにしないことが重要です。
負担の内容や時間を具体的に示し、どこまでなら対応できるのかを伝えることで、役割の見直しにつながる可能性があります。
また、家族全体で分担する形や外部の支援を取り入れることも現実的な方法といえるでしょう。
すべてを背負う前提から離れ、自分の生活と体調を守る基準を持つことが、長く続けるうえで必要になります。
作画:暁谷
※Grapps編集部が独自に収集した実際の体験談をもとに、個人の特定を避け記事化しています
